[原子力産業新聞] 2000年9月21日 第2055号 <3面>

[米国] 控訴裁、廃棄物引取り遅延で裁定

「DOEは契約違反」

米国の連邦控訴裁判所は8月31日、使用済み燃料の引き取り期限を守らなかったとして3つの原子力発電会社がエネルギー省 (DOE) を訴えていた裁判で下級裁判所の採決を支持し、「DOE は電力会社との契約に違反した」との見解を示すとともに、電力会社が政府に対して損害賠償を求めることを許すとの判断を下した。

DOE は放射性廃棄物対策法に基づいて98年1月末から商業用原子炉からの使用済み燃料を引き取ることになっていた。しかし、ネバダ州ユッカマウンテンでの処分場建設を可能にする法手続きの遅れから引き取りは実行に移されず、メーン・ヤンキー・アトミック社、コネチカット・ヤンキー・アトミック社、およびヤンキー・アトミック社の電力3社が引き取り遅延に伴う損害賠償を政府に求めていたもの。

判決の中で控訴裁は、(1)DOE の引き取り遅延は電力各社と交わした契約の下で解決可能な遅延とは性質を異にする(2)電力会社側には引き取り遅延によって生じた損害賠償問題をこの契約の下で解決する義務はない(3)DOE は明らかに契約上の義務に違反した−と明言。DOE の違反は契約義務を果たす際の単純な遅延とは言い難いほど同契約の中でも中心的かつ重要な項目であったと指摘したほか、契約を結んだ原子力発電産業全休に係わる重大な問題である点を強調している。

この一方で控訴裁は、同様の内容で DOE を訴えていたノーザン・ステーツ・パワー社に対しては、下級裁判所の判断を覆して同社の損害賠償請求を却下。「訴える前に契約を通じて可能なあらゆる救済策を尽<すべきだった」との裁定を下している。


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