[原子力産業新聞] 2000年9月28日 第2056号 <1面>

[総合エネ庁] エネ政策WG−今後のエネルギー需給、シナリオ作成に着手

総合エネルギー調査会 (通産相の諮問機関) 総合部会のエネルギー政策ワーキンググループ (WG、委員長・茅陽一東大名誉教授) は25日、第1回会合を通産省内で開催し、新エネルギー需給見通し策定へ向けた基本的考え方などについて議論を行うなど、今後のエネルギー需給についてのシナリオ作りの検討に着手した。同 WG は今後、環境関連税および排出権取引といった経済的措置の定性的評価、有識者からのヒアリング、COP6 結果報告などに加え、具体的なエネルギー需給像とそれを達成するための複数のシナリオ作成を、来年2月の第6回会合までに行う予定。なお総合部会へは、WG の検討が一定程度進んだ段階において、適宜報告が行われる。

会合では、新たなエネルギー需給の策定にあたり、エネルギー需給が経済活動と密接な関係がある点を考慮し、エネルギー需給像およびこれを実現するための具体的施策内容を「シナリオ」として取扱うとともに、エネルギー需給目標を達成するための手法には複数の方策が考えられることから、シナリオの内容およびその結果としてのエネルギー需給像と経済活動の姿を大まかな考え方に従って複数通り試算し、その内容を比較検討することが決定された。具体的には、エネルギー起源 CO2 排出量などといった制約要件や前提条件を踏まえつつ(1)現状の施策枠組みのみが維持された場合のエネルギー需給像を推計した、比較対象のための「基準ケース」(2)基準ケースから施策内容などを変化させた場合の経済活動、エネルギー需給およびエネルギー起源 CO2 排出への影響評価を踏まえた「目標ケース (複数シナリオ)」−の2つのパターンを策定する。

具体的なシナリオ作成は、来年1月に予定されている WG の第5回会合および、翌2月開催予定の第6回会合で実施される。その後 WG は策定したシナリオを総合部会へ報告し、同部会はそれを基に来春から夏にかけて、最終的なわが国のエネルギー需給見通しを含めたエネルギー政策のあり方を策定する予定だ。なお、次回 WG は11月10日。エネルギー・環境関連税制などといった経済的措置と、海外の政策動向などについて、議論が行われる予定。


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