[原子力産業新聞] 2000年9月28日 第2056号 <1面>

[来日] バタイユ仏国民会議議員らが来日

仏での高レベル廃棄物の処分方針「2006年末に決定」

フランス社会党のC.バタイユ議員をはじめとするフランス国民議会議員の一行10名が、17日から22日の日程で我が国を訪問した。

今回来日したのは、エネルギー問題検討委員会および生産貿易委員会の委員を努める議員らで、団長を務めたバタイユ議員は1992年、フランス国内の高レベル廃棄物深地層処分地下研究施設の候補地決定に向けて地域との調整役を任命された実力者。一行は滞在中、衆議院商工委員会や政府・産業界の原子力関係者を訪問するとともにエネルギー関連施設を視察した。

議員団は22日、日本原子力産業会議との懇談会に出席。冒頭、バタイユ議員は「議会では与野党とも、エネルギー政策については意見がほぼ一致している。エネルギー資源に乏しい日仏両国は、特に原子力分野で協力すべきで、ともに想像力を働かせ問題を解決していく必要がある。フランスは将来も原子力に頼っていく方針であり、ドイツのように原子力に背を向けることはない」と挨拶した。

同議員はさらに、2006年末までに長寿命核種の分離・変換、深地層処分、および長期貯蔵のオプションを研究し、高レベル廃棄物処理・処分の方針を決定するとした「放射性廃棄物処理・処分研究法」に触れ、研究の結果出されうる結論として、(1)可能性は低いが深地層処分以外を選択する(2)深地層処分を採用しサイトを決定した上で地下処分所の建設を許可する(3)さらに数年間の猶予期間を設け追加検討する−ことが挙げられるとした。

フランスでは現在までに、まず地層処分地下研究所の建設地として粘土層のフランス東部オート・マルヌ県のビュールが決定。試験施設の建設に着手している。これに続く第2の候補サイトを花崗岩等の中から選定する努力が払われているが、有力とされる地点での反対運動により作業は難航している。

この点に関し、バタイユ議員は記者会見の席上、「法律上は、複数のサイトを選定することが義務とはなっていないが、複数箇所を選択肢としておくことが望ましい。第2の候補サイトは必ずしも花崗岩質である必要はなく、別の粘土層の場所でもかまわない」との考えを示すとともに「どのような状況であれ2006年12月末までに議会に対して研究結果を示すという期限が設定されていることが重要」であるとし、問題の先送りが許されないことを強調した。


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