[原子力産業新聞] 2000年9月28日 第2056号 <3面> |
[BNFL] 決算で3億ドルの損失燃料データ事件が影響英原子燃料会社 (BNFL) は14日、今年3月末までの99/00会計年度決算を発表し、前年に税引き前・特別支出差引後の実績で2億1,800万ポンド (326億円) の利益が上がっていたのに対して、今回は一転して3億3,700万ポンド (519億円) の損失を記録するなど「様々な面で改革の必要性が示唆される困難な年だった」ことを明らかにした。 同社のH.カラム会長によると、昨年発覚したセラフィールドの MOX 燃料製造工場における計測データ改ざん事件を機にいくつかの契約を喪失。予定されて いた一部民営化計画が延期されたほか、経営陣の入れ換えにつながったと指摘した。それでも、原子力浄化に対する圧力や原子力発電への関心の高まりと言った市場環境の変化は潜在的なビジネス・チャンスの可能性を示しており、このような環境の中で BNFL 自らも改革を遂げつつあるという点で、短期的な市場の見通しは悪くないと分断している。 このほか同社の発表によると、年間の売上高は32%アップして20億6,400万ポンドに到達。その一方で、税額や特別支出を差し引く前の収益は54%落ち込んで7,400万ポンドとなった。この年度では、MOX 燃料データ事件に係わる補償やヒンクリーポイントA原子力発電所の早期閉鎖に伴う臨時出費およびその他の長期的な廃止プロジェクトの損失などで4億1,100万ポンドの特別支出を強いられたと BNFL は指摘。さらに、原子力関係の広範囲にわたる負債を審査した結果、修正された前年の負債をカバーするために今回の利益から4,500万ポンドを差し引かねばならないことが判明したと説明している。 部門ごとの実績は概ね堅調に推移しており、燃料製造・原子炉サービス事業グルーブの売上は前年の1億8,700万ポンドから7億3,000万ポンドに急増したほか、操業益も400万ポンド増加して2,300万ポンドとなった。BNFL 全体の収益に特に貢献している使用済み燃料管理事業グループは例年通り受注が順調で、5億6,800万ポンドの売上げが5億9,900万ポンドに拡大。操業益は2,300万ポンド増えて1億ポンドの大台に乗っている。原子力廃止措置および浄化事業については外部での売上が前年実績から1,500万ポンド減少して1億6,700万ポンドになったものの、前年に5,200万ポンドに達した操業損失は2,100万ポンドに落ちついた。 今回、実績が特に伸び悩んだ部門はマグノックス炉発電グループで、売上げが5億6,800万ポンドに低下したほか、操業利益も2,700万ポンドという結果に終わっている。
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