[原子力産業新聞] 2000年10月5日 第2057号 <1面>

[高レベル廃棄物] 処分計画が閣議決定

事業化にむけ前進

政府は9月29日、「特定 (高レベル) 放射性廃棄物最終処分に関する計画」を閣議決定した。

決定ではまず、特定放射性廃棄物の発生量および見込みについて、発電用原子炉の運転に伴い生じた使用済み燃料の再処理後に発生する廃棄物 (ガラス固化体) 量は、1999年12月31日以前の運転に伴い生じたものが約1万3,300本であり、その後は今年度電力供給計画を基礎として算定した結果、2000年〜2009年までの間に新たに1万2,400本が発生。それ以降の発生量も同程度と予測して算定した結果、2013年頃には総数で約3万本に、2020年頃には約4万本に達する−との予測を承認した。

一方、これらを処分する最終処分施設については、発生量予測を受けて1施設あたりの規模を「4万本以上の特定放射性廃棄物を最終処分できる規模」と規定するとともに、現在建設中の日本原燃・六ヶ所再処理施設の本格稼動時の特定放射性廃棄物年間発生量を勘案し、年間処理能力を「約1,000万本の特定放射性廃棄物を最終処分することができる能力」と定めた。

なお、最終処分は平成40年代 ( 2028 〜 37 年 )後半を目途に開始されることとなった。

一方、施設を建設する場所の選定については、原子力発電環境整備機構 (処分実施主体) が概要調査を実施し、平成20年代 ( 2008〜17 年) 前半を目途に精密調査地区を選定し、平成30年代 ( 2018〜27 年)後半を目途に最終処分施設建設地を選定することとされた。

また処分の実施方法は、「人口バリア」と、天然バリアとを組み合わせた「多重バリアシステム」により実施するものとされた。

なお、実施方法の詳細および施設の閉鎖までの期間、閉鎖後の措置などについては、安全確保のための規制に関する検討などを踏まえて決定していくものとされるとともに、その他、特定放射性廃棄物の最終処分実施に関して必要な事項は、原子力発電環境整備機構が最終処分を実施する際には、「最新の知見を十分反映して行うものとする」と定められた。

同計画の閣議決定を受けて、電力業界は、4日に実施主体となる原子力発電環境整備機構の設立許可申請を通産省に提出した。


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