[原子力産業新聞] 2000年10月5日 第2057号 <2面>

[エネ庁] 双方向型広報を重視

原子力広報検討会が提言

通産省・資源エネルギー庁公益事業部長の私的懇談会である原子力広報評価検討会 (座長・田中靖政学習院大教授) はこのほど、リスク・コミュニケーションの考え方に基づく広報施策の推進、広報施策の体系化などの提言を含めた報告書を取りまとめた。

報告書ではまず、原子力広報の目的を実現していくためには(1)広報の対象となる受け手の状況を十分に分析することによる対象の明確化(2)外に対する個人の態度形成過程を踏まえた広報目的の明確化(3)国民自らが情報を適切に選択し、主体的に判断できるような環境の整備−の3つの観点から「各種施策を効果的に体系化していくことが今後の基本的方向」と、取り組みを行う上での方向性を開示し、具体的な施策対応のあり方を整理。また原子力広報の課題については、双方向的コミュニケーションを重視した施策体系作りと、情報内容や表現方法の検討の重要性を指摘している。

一方、ウラン加工工場の臨界事故後に行われた世論調査結果で、原子力に対して否定的な意見が増加したことに対し、原子力広報の当面する課題として、「原子力発電に対する不安感減少に向けた具体的な対応」と「立地地域を中心とした原子力の信頼回復に向けた積極的取り組み」を挙げている。

さらに、今後の原子力広報施策については(1)リスク・コミュニケーションの考え方に基づく広報施策の推進(2)広報施策の評価システムの確立(3)広報施策の体系化(4)原子力広報の基礎的課題への継続的取り組み−を提言している。


Copyright (C) 2000 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.
Copyright (C) 記事の無断転用を禁じます。