[原子力産業新聞] 2000年10月5日 第2057号 <3面>

[欧州委員会] 原子力安全業務を移管

機構改革で効率化

欧州委員会 (EC) は9月6日、原子力安全に関する業務を環境総局 (DG・Env) から運輸エネルギー総局 (DG.Tren) を始めとする複数の部署に移すことを決定した。

この機構改革は、欧州連合 (EU) に新たに加盟を申請している中・東欧諸国および旧ソ連諸国 (NIS) における「包括的な原子力安全戦略」の一頭として決議されたもの。主な変更点は(1)EU 域内の原子力安全業務に関する責任を (原子力に批判的な) バルストロム委員長の環境総局から (原子力推進派である) デパラシオ欧州議会担当副委員長が率いる運輪エネルギー総局に移管(2)EU への加盟申請諸国の原子力安全は運輸エネルギー総局のほかに拡大 EU 総局 (DG・Enlargement) および対外関係総局 (DG・Relex) と対外共同事務局 (SCR) に移管−など。機構の改革に伴い、職員の一部も異動する見込みだ。

EU 域外の業務の中でも、新規加盟申請国の原子力諸問題全般は拡大 EU 総局、NIS 諸国における原子力安全関係のプログラミングは対外関係総局が責任を負う。また、NIS で実施するプロジェクトの特定および実施業務は対外共同事務局が所管すると見られている。

今回の EC 内部の機構改革について欧州原子力産業会議連合 (フォーラトム) は、「環境総局内では原子力に批判的な意見が優勢だったので好ましい動きだ」と歓迎。責任が複数の部署に分割されることにより、それぞれが目標達成のための手段を確実に持てるようになるだけでなく、包括的な原子力安全戦略に則したプロジェクトの創設や管理も一層効率的になるかもしれないとの見解を示した。


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