[原子力産業新聞] 2000年10月12日 第2058号 <1面>

[日本原燃] 新型遠心機開発に着手

技術開発センターを設立へ

日本原燃は6日、今後のウラン濃縮事業の方針を公表し、新型遠心分離機の開発に着手することを明らかにした。開発にあたっては、核燃料サイクル開発機構、原燃マシナリーおよび同社の技術者を結集して、同社の六ヶ所施設敷地内に「ウラン濃縮技術開発センター」を11月1日に設立する。この開発センターに、これまでの遠心機開発の成果や知見を集約して、現在、六ヶ所に建設中の研究開発棟を我が国の濃縮技術開発の拠点とし、新型遠心機の開発に全力で取り組む方針だ。

なお、運転中の遠心分離機については、現在行っている分解調査による知見を反映するとともに、引き続き運転長期化のための諸方策を検討し、新型遠心機による生産体制への円滑な移行を図る。

同社では、これまでの高度化機開発における反省も踏まえ、今後は安全性の確保はもとより、長期信頼性の達成を最重点と考え、開発体制を強化したうえで、構成要素試験に2年程度、基本仕様の確証試験に4年程度、その後4年間程度で実証試験、最終的な導入判断、許認可取得、建設工事を進め、2010年頃を目途に新型遠心機による生産を開始し、10年程度をかけて1,500トン SWU/年規模の達成を目指す。

同社は、これまでウラン濃縮工場の第二期後半分 (450トン SWU/年) への高度化機導入に向けて、遠心分離機の回転胴底部部品の一部仕様を見直し、性能確認等の試験を行っていたが、今年3月末に当該部品の試験片表面にウラン化合物の付着と腐食の痕跡が確認されたため、試験結果を総合的に評価・検討した結果、当該部品に認められた腐食の痕跡は、応力腐食割れに至る可能性があることがわかった。その一方で、当該部品の構造を変更することによって、応力腐食割れの発生を防止できる見通しを得たという。しかし、大幅な構造変更のため、総合機能の再確認も含め最低5年程度、その後の実用化に向けた実証試験、許認可取得、製造などの期間を入れると、導入までに9年程度かかるとの見通しを得ていた。

一方、核燃料サイクル開発機構では、1992年度から、より高性能化を目指した遠心分離機 (先型機) の開発を続けており、現在運転中の遠心分離機の2.5から3倍の分離性能を持つ高度化機よりさらに高い分離性能 (4から5倍) を確認している。これについてもその実用化に向けては、更なる実証試験が必要となる。

以上のことを総合的に評価した結果、日本原燃では、核燃料サイクル開発機構の濃縮技術を受け継ぎ、高度化機開発で得られた知見を組み合わせることにより、高度化機の構造を変更した場合と比べて1年程度の期間の差で、より高性能で経済性に優れた新たな遠心分離機を開発できる見通しを得たため、開発機種を新型遠心機に移行することにした。


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