[原子力産業新聞] 2000年10月12日 第2058号 <1面> |
[長期計画] 「意見聞く会」終える長計策定会議、最終案作成へ原子力委員会長期計画策定会議 (座長・那須翔東京電力相談役) は7日、福井市内で第3回目の「ご意見をきく会」を開催した。 福井市くらしの会の豊嶋美代子会長は、環境・エネルギー問題の重要性を理解してもらうため学校教育・家庭教育等の場の活用を長期計画に盛り込むよう要望する一方、原子力災害対策特別措置法に基づくオフサイトセンターの設置について、福井県への建設が遅れていることに失望したと述べた。一般公募で選ばれた粟野昭雄氏は高浜発電所のプルサーマル計画延期について発言。計画実施を支援していこうとする町民の熱意に対して国が十分応えていないと指摘し、今後の具体的施策を打ち出すよう求めた。 また、高速増殖炉「もんじゅ」の運転再開の是非をめぐっても、さまざまな意見が述べられた。小木曽美和子氏 (原子力発電に反対する福井県民会議事務局長) は「もんじゅ」とは異なる燃料や炉型の研究が提示され、続く実証炉計画がない。意義を失った「もんじゅ」の早期再開を最優先する長期計画案は、説得力を欠き責任のない政策だと厳しい意見を披露した。一方、福井県原子力平和利用協議会事務局長の石黒順二氏は、エネルギーの最期的安定確保は国家安全保障に関わるとの観点から、「もんじゅ」の研究開発推進と、同時に地元を最優先にした危機管理体制が必要だとした。 この他、敦賀市議会議員の北條正氏からは、「長計案に対して、自信をもってその戦略と実現に向けたプロセスを描くべき。国民感情や世論を意識しすぎるあまり中途半端でわかりにくい長計になっている」との意見も聞かれた。 予定された最終の会合を終了したことで、長計策定会議は年内の最終案作成に向け大詰めの段階を迎える。
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