[北海道] 堀知事、深地層研究所計画を受け入れ
地層処分研究へ前進
堀達也北海道知事は14日に開かれた道議会予算特別委員会で、核燃料サイクル開発機構が北海道と幌延町に申し入れていた深地層研究所の建設計画を受け入れる意向を表明した。附随して、16日には道議会が道内に放射性廃棄物を持ち込むことは「受け入れ難い」と宣言する条例を可決。これを浮け、サイクル機構では今後、研究所建設にむけた協定を道や幌延町と締結し、深地層研究に向けた一歩を踏み出すことになる。
放射性物質は持込まず
道内では、5月に幌延町議会が深地層研究の推進条例を可決。8月には北海道が主催して「道民の意見を聴く会」を道内各地で開催、深地層研究所計画をめぐる道民の声を直接聴く機会を設けていた。これらを踏まえ、堀知事は同日、放射性廃棄物を長期的にわたり安全に処分するための技術の確立が求められているとして、深地層研究所の受け入れを表明するに至った。その一方で、「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」を提案することで、放射性廃棄物を道内に持ち込まないことを改めて確認した。
条例は、「使用済み燃料の再処理後に生ずる特定放射性廃棄物は長期間にわたり人間環境から隔離する必要がある。現時点では、その処分方法の信頼性向上に積極的に取り組んでいるが処分方法が十分確立されておらず、その試験研究の一層の推進が求められており、その処分方法の試験研究を進める必要がある」とする一方で、「現在と将来の世代が共有する限りある環境を将来に引き継ぐ責務を有しており、こうした状況の下では特定放射性廃棄物の持ち込みは慎重に対処すべきであり、受け入れ難いことを宣言する」としており、深地層研究所への放射性廃棄物の搬入を事実上認めていない。条例は16日に可決成立した。
地元幌延町の上山利勝町長は知事の発言に対し、「深地層研究所計画に対する知事の同意は幌延町民が長年待ち望んできたこと」と語るとともに、「深地層の研究については、今や生活に欠かすことのできない原子力エネルギー政策の推進上重要であり、研究成果が国民生活に貢献するものと確信している」と、期待を表した。
サイクル機構は、高レベル放射性廃棄物の地層処分研究の基盤研究施設として、岐阜県東濃地区で超深地層研究所を計画し、花崗岩を対象にした地層科学の研究を行っている。一方、幌延には厚い堆積岩が存在しており、堆積岩を対象とした深地層の試験研究を実施する地点として適性が確認されていたことから、同機構としては同町への研究所建設を目指していた。
北海道、幌延町、サイクル機構は、国の立会いのもと来月にも研究所建設に向けた協定を締結する見通し。その後同機構は、地元との協議を踏まえつつ、地表からの地質調査や空中からの調査などを行っていくものと見られる。
都甲泰正核燃料サイクル開発機構理事長は、「深地層の研究施設は、技術的、社会的にも重要な施設として早期実現が必要とされており、研究の実施主体として今般の知事のご決断に敬意を表する。また、道における2年余りにわたる熱心なご検討、道議会におけるご審議や関係各位のご支援ご協力に対して深くお礼申し上げる。今後とも、引き続き北海道、地元のご理解の下に誠心誠意最善の努力をして本計画を推進してまいる所存だ」とコメントを発表した。
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