[原子力産業新聞] 2000年10月19日 第2059号 <3面> |
[ドイツ] シュターデ原発、早期閉鎖へ火力480万kWも来年閉鎖ドイツ最大の電力会社である E・ON 社は9日、電力価格の下落に伴う発電設備削減戦略の一環として480万kW 分の火力発電設備を来年中に閉鎖するほか、シュターデ原子力発電所 (67万2000kW、PWR) も2003年12月末までに早期閉鎖することになったと発表した。ドイツでは今年6月、政府と大手電力4社が「平均運転年数が32年となるよう設定した発電枠を終えた原子炉から閉鎖していく」ことで合意しており、シュターデ発電所はこの合意後初めて閉鎖時期の決まった原子炉となった。 シュターデ発電所は72年に営業運転を開始。合意に基づいて計算すれば今年初頭時点で231億8000万kW 時の発電枠が残っていたことになる。しかし、同発電所では10年ごとに義務づけられている大がかりな定期安全検査 (PSA) を最後に実施したのが97年3月であり、運転継続のためには次回の PSA を年内に行わねばならないことになっている。E・ON 社では「PSA を実施せずに運転できる期限一杯の2003年で閉鎖した方が経済的」と判断したと語っている。 E・0N 社ではまた、欧州電力市場の自由化により電力価格が落ち込んでいる事実に言及。火力も含めて過剰な発電設備の削減に迫られていることを強調した。これらの閉鎖により、同社は10年間の営業収益が14億独マルク (685億円) 増加すると見込んでいる。シュターデ発電所の発電枠はブロックドルフ原子力発電所 (139万5000kW、PWR) のように大型で比較的新しい原子炉に回されると予想されている。 なおドイツではこのほか、RWE 社が翌10日、訴訟のため長期休止状態にあったミュルハイム・ケールリヒ原子力発電所 (130万2000kW、PWR) の閉鎖を正式に表明した。同社は元々、6月の政府との合意時点で同発電所の1,072億5,000万kW 時の発電枠をほかの発電所に譲ることに同意していた。同社はまた、同社全体の発電設備も2004年までに520万kW 程度まで縮小するとの考えを明らかにしている。
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