[原子力産業新聞] 2000年10月19日 第2059号 <4面>

[東海再処理工場] 茨城県審議会、運転再開を了承

近く橋本知事が判断

核燃料サイクル開発機構の再処理施設の運転開始について地元の橋本昌茨城県知事から諮問されていた原子力審議会 (委員長・佐藤守弘常磐大教授) が16日、「運転再開を認めることは差し支えないものと考える」とする答申案を了承し、同審議会として最終的に再開容認を確認した。近く橋本知事が最終判断する。


サイクル機構東海事業所にある再処理施設は1997年3月に起きたアスファルト固化処理施設の火災・爆発事故以来、第13回定期検査を実施するなどして、再発防止策を講じてきた。現在は分離精製工場等は、機器、設備の点検・整備を実施中だ。

同審議会は、今年7月24日に、橋本昌茨城県知事から、「核燃料サイクル開発機構東海再処理施設の運転再開について」の諮問をけたもので、科学技術庁から (1) 我が国の核燃料サイクル施策上における東海再処理施設の位置付け及び重要性 (2) 東海再処理施設の安全性について説明を求めるとともに、県から東海再処理施設の安全性に関する調査結果を聞くなどして、運転再開の適否を検討してきたもの。

また審議の間、科学技術庁から、我が国核燃料サイクル政策上、同再処理施設が重要な役割をもつとの観点から、同施設の運転再開についての要請を受けていた。

同審議会では、「再開容認」の方向性が9月26日の審議会ですでに了解されている。再処理施設の再開問題で3回目となる今回はこれまでの審議を踏まえて、事務局の県原子力安全対策課が作成した答申案に関する議論が行われたもの。

答申では、新型転換炉「ふげん」の使用済み燃料再処理や、再処理基盤技術の確立を図るなどの役割に加え、今後も高燃焼度燃料や MOX 燃料再処理技術の研究に重要な役割を有するとして、核燃料サイクル政策上に東海再処理施設が重要な施設と位置づけられ、安全性に関しても、国、及び茨城県が実施した安全評価に基づいて、問題ないとの判断が示された。

そのうえで、審議会は、地元東海村の意見も踏まえて5項目の意見を添付した。

そのなかで、国に対して士ネルギーや原子力に関する情報提供に関して、あらゆる機会をとらえて最善の努力を図ることを求めている。また、ガラス固化体として東海再処理施設内に保管されている高レベル放射性廃棄物の処分について、速やかな対応を国に求めている。定期的な安全性確認と公表に関しても、同様に安全確保への責任ある取り組みを求めると同時に、サイクル機構に対しても業務従事者への意識改革と安全確保、地域への安心確保に努めることを要望している。

橋本知事は、先の会見で同審議会の判断を最大限尊重する考えを示しており、答申を受け取った後、運転再開の最終判断を下す。

サイクル機構では、新型転換炉ふげんの使用済み燃料貯蔵の状況も踏まえ、なるべく早期に再処理工場の操業を再開したい考えであり、JCO のウラン溶液もサイクル機構が受け入れており、東海再処理工場で処理されることになっている。

なお、この日の審議に先立つ13日には、地元の市民団体である反原子力茨城共同行動から、運転再開を認めないよう要望する申し入れが行われていた。


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