[原子力産業新聞] 2000年10月26日 第2060号 <2面> |
[中国電力] 上関立地で環境調査とりまとめ海生生物への影響なし中国電力が山口県・上関町に計画している上関原子力発電所建設計画について、同社は18日、環境影響調査の追加調査 (冬、春、夏季分)の結果を、「ハヤブサ、スナメリなどへの影響は少ない」などと取りまとめ、中間報告として通産省・資源エネルギー庁、山口県および上関町に提出した。 上関計画に係わる環境影響評価について、中国電力は1995年から調査を行い、その結果を99年4月27日に「環境影響評価書」(環境影響評価法施行後は「環境影響評価準備書」) として取りまとめ、通産省および山口県、上関町に提出していた。 その後山口県知事の意見などを踏まえて通産省は、今年3月にハヤブサ、スナメリなどの繁殖期を含む期間の調査の実施を通産大臣勧告として行うとともに、10月中旬までに中間報告を行うよう中国電力に対して指導を行った。 これを受けた同社は、計画地点周辺のさらなる環境保全を図るため、学識経験者などで構成する「上関地点環境関係調査検討会」を設置し、専門家の助言を得るなどしながら調査を行ったところ、 (1) スナメリについては温度変化に強く、かつ餌となるアジ類なども広温性であり、来泳への影響は少ない (2) ハヤブサについては生息域は計画地点から五百メートル以上離れており、工事による影響は少ない (3) カクメイ科の貝類については、生息するタイド・プール (潮溜り) を埋め立てずに保存するほか、タイド・プール前に波の影響を避けることができ、海水の出入りができる堤防を設置するため、影響は少ない−などとする夏季までの調査結果を取りまとめ、保全措置などにより、発電所建設にともなう周辺環境への影響は低減が図られているとして、中間報告として提出した。今回の中間報告の内容について中国電力では、秋期調査の結果と合わせて、最終的に環境影響評価書として通産大臣に提出することとしている。 |