[原子力産業新聞] 2000年10月26日 第2060号 <5面>

[原子力協力] 日米研究協力を協議

藤家委員長代理 協定締結には慎重な考え

藤家洋一原子力委員長代理は今月、米国と欧州を訪問し、原子力協力に関わる協議に臨んだほか、国際会議で講演を行うなどし、15日に帰国した。20日に開かれた原子力委員会会合でその報告が行われた。

藤家委員長代理は、まず4日に米国エネルギー省 (DOE) で、モニッツ・エネルギー・科学・環境担当次官、マグウッド原子力科学局長ら幹部と会談し、今後の日米の原子力研究協力に関する協議を行った。

会談の席上、藤家氏は今回の協議の目的や日本の省庁再編の概要、現在策定中の原子力長期計画に関して説明した。これに対し、モニッツ次官からは、 (1) DOE が最近の2年間、原子力研究イニシアチブ (NERI) や第4世代炉等の計画立案を進めてきており、今後日本との協力を促進していきたい (2) DOE 長官が高速中性子束試験装置 (FFTF) の運転再開を今年末までに決定する方針であり、その場合各国との国際協力が重要になる (3) 特にロシアの高速炉 BN600 を利用した余剰兵器プルトニウム処分に関して日本のリーダーシップの継続を期待する (4) 日本が国際チェルノブイリセンターの理事会メンバーになったことを感謝、ならびにカザフスタンの高速炉 BN350 の廃炉に関する協力に日本が参加するよう希望する−などの発言がなされた。

さらに米国側は、核破砕中性子源である米国 SNS 計画の関連施設が2006年に完成予定であるとして、測定装置の建設について日米協力の重要性を強調したほか、放射光の研究協力でもブルックヘブン研究所に対して検討するよう指示する考えであることを明らかにした。また、国際熱核融合実験炉 (ITER) 計画での実験に科学者個人が参加することの可能性について議会に諮っていることを紹介した。

また、マグウッド局長より、「国際原子力研究イニシアチブにおいてどのような研究課題を選ぶかについて2国間の議論が必要である。政府間の研究協力に関わるアンブレラ協定 (例えば原子力委員会・DOE 間の協定) も必要となる。今後早く検討していきたい」との発言があったのに対し、日本側からは検討には時間を要するとの考えが示された。

また、藤家委員長代理は訪米を終えた8日から15日の日程で欧州を訪問し、ベルギーで開かれた国際会議「プルトニウム2000」に出席した後、ドイツとフランスで関係者との会談や講演等を行った。

フランス原子力庁 (CEA) では、ペラ最高顧問と会談し、特に ITER 計画に関して意見交換。同顧問は、来年7月頃までに行われる予定の ITER サイト提案について、それに伴う技術作業グループや指導監督するプロジェクト・ボード等の枠組みが明らかになったことを紹介した。さらに、CEA がガダラッシュ研究所を ITER の候補サイトとして提案したことに対して、 (1) フランス政府としての提案ではない点 (2) 欧州連合 (EU) の第6次フレームワークプログラムの予算確定にはまだ2年あり、サイト提案をこの時期と合わせる必要がある点−を挙げたうえで、来月行われる欧州研究大臣理事会で ITER 計画へのサイト提案が議論される予定であるが明確な見通しはないとの見解を示した。


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