[原子力産業新聞] 2000年11月2日 第2061号 <1面>

[中国電力] 島根発電所、原災法の下、初の総合防災訓練

オフサイトセンター拠点に

今年6月に施行された「原子力災害対策特別措置法」の下、初の防災訓練が10月28日、中国電力・島根原子力発電所2号機 (BWR、110万kW) を舞台に行われた。

訓練は、現地オフサイトセンターと首相官邸に置かれた政府の原子力災害対策本部を結び、また国や地元自治体および事業者に加え、地元警察、消防、自衛隊などといった防災関係機関や、発電所近辺に住む住民など総勢約1,900人が参加した大規模なもので、緊迫した雰囲気の中、実際の事故時に現地の防災対策拠点となる「オフサイトセンター」の設置・運営やモニタリング、災害対策本部などとの通信、広報、住民避難などの訓練が実施された。

6月に施行された原子力災害対策特別措置法は、今までは原子力災害が起きた場合に助言・指導を行うにとどまっていた国の役割が、直接指導を行うように改められたのが主なポイント。

訓練はシナリオに沿って実施された。想定事故は午前7時50分に中国電力・島根2号機で給水ポンプが停止し、さらに10時に低圧注水系の運転継続に失敗したため原子炉の冷却機能が全て喪失したというもの。これを受けた東京・千代田区の首相官邸では森喜朗総理大臣が10時32分、原子力緊急事態宣言を発出し、同首相を本部長とする原子力災害対策本部を設置。また合わせて原子力災害現地対策本部を設置し、坂本剛二通産総括政務次官を現地本部長として派遣した。両本部はテレビ会議システムで結ばれ、森首相と澄田信義島根県知事らが対応を協議した。

その後訓練は、放射性物質が外部に放出される可能性が高くなったとのシナリオに沿って午後12時30分、国は発電所近隣住民の非難勧告を行い、発電所南に隣接する鹿島町住民が自衛隊のトラックで町立武道館に非難を実施。

その後想定事故は13時45分に放射性物質の放出が開始したものの、14時45分に低圧注入系の復旧に成功したため放出は停止し、15時10分から開始された現地対策本部の第4回合同対策協議会で、原子力緊急事態解除宣言が行われる事が決定され、全ての訓練は無事終了した。


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