[原子力産業新聞] 2000年11月2日 第2061号 <2面>

[環太平洋会議] 韓国ソウルで開幕

藤家氏が「長計」で講演

第12回環太平洋原子力会議「21世紀における原子力技術の持続的発展のための新しい技術−ビジョンとミッション」が10月29日から11月2日の日程で韓国ソウル市で開幕した。

会議は23か国から600人が参加。日本からは藤家洋一原子力委員長代理ほか30数名が出席した。会議はまず、韓国の原子力委員長を兼務する李漢東首相の祝辞で開始。同首相は、韓国では第五次電源開発計画のもと2010年までに原子力発電18基2,600万kW、現在の2倍の設備容量になるとし、「21世紀の扉が原子力で開く」と前向きな発言をした。

続く基調講演では、日本から藤家原子力委員長代理が、現在策定中の新原子力長期計画案を中心に今後の原子力開発の展望を明らかにした。

韓国の李炳暉韓国科学技術院名誉教授は、2010年には韓国次世代炉が MOX 炉心で、DUPIC 技術も併用して稼動するとの大胆な予測を展開。その達成には、国際協力や一般公衆の支持、透明性が必要だと述べた。

また、レーク米原子力学会会長は「米国ではキロワットあたり1,000ドルの建設コスト、キロワット時あたり3セントの発電コスト、建設期間3〜4年で、核不拡散性を取り込んだ革新的な第4世代の原子力技術を狙っており、エネルギー省が核不拡散性を定量化する手法を開発中である」と紹介した。

初日午後には、総合セッション「国際協力と核不拡散のための朝鮮半島エネルギー開発機構プロジェクト」の中で、遠藤哲也原子力委員を含め8編の講演とパネル討論が行われた。6月の南北首脳会談は相互理解を深めるもので KEDO プロジェクトの将来に明るい希望をもたらしたが、IAEA 査察義務への対応を始め、米国の重油の供給や送電線敷設など多くの難題があり、楽観は許されないとの意見で一致した。さらに討論の中で、「原子炉2基でなく1基とし、あとは化石燃料の発電所に替える」という同プロジェクトをめぐる一部報道についても議論が交わされた。


Copyright (C) 2000 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.
Copyright (C) 記事の無断転用を禁じます。