[原子力産業新聞] 2000年11月30日 第2065号 <2面>

[原産] 日韓原子力産業セミナーが開催

日韓の原子力産業会議が共催する第22回日韓原子力産業セミナーが27日、28日の両日、東京・港区のアジュール竹芝で開催され、両国から約80名が参加し、論文発表と意見交換を行った。

セミナー初日の開会セッションで、日本側団長をつとめた山崎吉秀電源開発副社長は特別講演の中で、今年3月の電力小売り部分自由化に触れ、世界の情勢からして我が国の電気事業においても自由化の流れが一層進展するだろうとしたうえで、こうした状況で原子力をどう位置づけるかが日韓双方にとり課題となると述べた。また、新長期計画にも言及し、国と民間の役割を明確にし、連携しつつ各々の役割を果たすべきだとしたうえで、国は長期的観点からエネルギー安定供給や温暖化防止の公約の履行に必要な対応方針を明確に示すことが必要だとした。

さらに、民間事業者は安全確保を大前提に、原子力立地に向け意欲的に事業を展開する必要があると述べ、一層の経営努力を惜しまず、目先の自由競争だけに翻弄されずに地道な努力を続けることが大切だとした。最後に、既設の原子力発電所における効率化や合理化、コストダウンの努力が続けられていることにも触れ、今後の電力市場自由化の進展にあわせ、より一層のコストダウンヘの取組みが進むとしても、安全確保が大前提であることは忘れてはならないと締めくくった。

一方、韓国側代表団団長として参加した崔洋祐韓国電力公社原子力事業団長は、同公社の分割民営化に触れ、現在電力自由化に関する国会審議が遅れを見せているものの、同公社は2002年までに原子力発電を含め6つの発電会社に分割、2009年までには配電部門も競争原理を導入し、それ以降は完全な電気事業の自由化を達成する計画をあらためて示した。但し、原子力発電会社は、安全確保、新設計画ならびに北朝鮮での KEDO プロジェクト等の観点から国営会社にとどまる予定であるとする一方、国内の各原子力発電所の競争力強化のため新たな運転管理システムを導入していくことも明らかにした。

セミナーはこのあと、2日間にわたり、「原子力発電所の安全性と信頼性の向上」原子力発電所の建設技術の高度化」「新型原子炉の技術開発」「原子力発電所の運転技術の向上」をテーマとした各セッションで、日韓双方の参加者が論文発表等を行った。さらに、次回セミナーのあり方に関しても参加者が率直な意見を交わし、立地地域の住民や NGO の積極的な参加を促していくことの重要性も指摘された。


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