[原子力産業新聞] 2000年11月30日 第2065号 <3面>

[米国] EIA、地球温暖化防止に原子力の貢献を再確認

エネ省の報告書に言及

米原子力エネルギー協会 (NEI) は7日、米国エネルギー省 (DOE) のエネルギー情報局 (EIA) が温室効果ガスの排出抑制における原子力発電の重要性を強調する報告書を10月31日に発表していたことを指摘した。

この報告書で EIA は99年1年間の米国の CO2 排出量を計算。18億3,300万トンという数値は前年実績からの増加率が0.8%だったことを示しており、90年から98年の間の平均年間増加率である1.1%を下回ったことから見て、昨年は予想外に排出量が少なかったとの事実を明らかにした。

EIA は報告書の中で、温室効果ガス排出量の増加がゆるやかだった理由を「主に通常より温暖だった気候と原子力による発電電力量の増加のお陰」と説明。この点について NEI は、「オランダのハーグで13日から開催される COP6 で京都議定書の目標値達成のための方策が話し合われるのを目前に、原子力が環境に及ぼす好影響について同意を得ることができた」として高く評価した。

報告書はまた、「原子力は温室効果ガスの排出抑制と地球の大気の清浄化に貢献している」との認識を示唆しており、原子力産業界が過去数年間にわたって主張してきた事実を再確認する形となった。この点に関しても NEI は、「去年もし、原子力発電による7,280億kW 時という電力が存在しなかったら、一体ほかのどの電源が温室効果ガスを出さずにこれだけの電力を確実に供給できただろう」とコメント。原子力による昨年の発電量は98年実績を550億kW 時上回ったほか、6,750万人分の民生需要を賄うなど記録的な伸びになったことを強調した。また、全ユニットの効率向上による増加分は、9基の大型原子炉が490万人に提供できる電力に匹敵すると NEI では評価している。


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