[原子力産業新聞] 2000年11月30日 第2065号 <3面>

[仏/独] 固化体の返還実施へ、両国政府が合意

15日にドイツ連邦放射線防護局 (BfS) とフランス大統領官邸が明らかにしたところによると、仏ラアーグ再処理工場で処理されたドイツの使用済み燃料を独ゴアレーベン中間貯蔵施設に搬入することを BfS が承認したことから、来年3月にもガラス固化体を封入したコンテナ6台がフランスからドイツに返還輸送されることになった。

これは今月上旬、ドイツのG.シュレーダー首相とフランスのJ.シラク大統領およびL.ジョスパン首相が会談した際、両国間の使用済み燃料輸送問題を審議する作業部会の設置が決まったのを受けて出されたもの。ドイツの原子力発電所から出る使用済み燃料は国内にあるアーハウスかゴアレーベンの中間貯蔵施設に送られるか、再処理のためフランス核燃料公社 (COGEMA) のラアーグ再処理工場に輸送されることになっていた。しかし、98年にドイツ政府が使用済み燃料の輸送を禁止して以来、コジェマからもガラス固化体をドイツに返還することができず、反原子力団体からは「外国の放射性廃葉物を違法に国内に留めている」との非難に晒されていた。

こうした背景からジョスパン首相は先月末、「処理済みの廃棄物を引き取らない限り、今後ドイツからの使用済み燃料は一切受け入れない」との最後通告をドイツ側に通達。BfS が9月に使用済み燃料の国外輸送禁止を解除した後も、ドイツのフィリップスブルク発電所はコンテナ2台分の使用済み燃料受け取りをフランスから拒否されるという状況に陥っていた。

ドイツではこのほか、シュターデ、ビブリスの両原子力発電所でも敷地内の使用済み燃料貯蔵容量が限度に近づいており、実際に輸送を実行できる機会を待っているところ。使用済み燃料の新規受入れについてジョスパン首相は、「仏独作業部会が相互の問題や細部を検討して決めることになる」と言明しており、検討結果は年内にも明らかにされる見込みだ。


Copyright (C) 2000 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.
Copyright (C) 記事の無断転用を禁じます。