[原子力産業新聞] 2000年12月7日 第2066号 <2面> |
[コンピュータソフト開発] モニタリングシステム販売熱効率を最適化三菱重工業の関連エンジニアリング会社であるコンピュータソフト開発 (白滝康次社長、東京都新宿区) は、原子力・火カプラント向け熱効率最適化モニタリングシステムの国内販売を開始した。 このシステムは、スウェーデンの総合エンジニアリング会社・プロニクス社傘下のパワーアイティ社が BWR と火カプラント向けに開発したもので、発電プラントの熱効率をオンラインで最適に支援、制御して経済性等を高めることができる。 現在、対環境性や経済性への要求が高まる中、世界的に実績のあるこの種の監視・支援システムは数少なく、今後国内での普及が期待されている。コンピューターソフト開発は、パワーアイティ社と日本国内での独占販売契約を締結、国内での導入支援および保守を行う。 このシステムは、発電プラント各部の300点程の温度、圧力、流量などの計測パラメータを用いて、DMP (診断モデルプロセス) と呼ばれるモデルにより診断対象機器の熱や質量収支の不平衡状態を診断し、ガイドを行う。具体的には、機器の出入口の流量差、温度差等を誤差関数で表現して、不平衡の方向および変動巾を評価し、誤差関数の想定条件などを考慮して起こり得そうな故障状態を診断し、ガイドする。 原子力発電プラント向けのシステム「CMS」は、スウェーデンの電力会社・バッテンフォールの BWR プラント・バーセベック1、2号機およびフォルスマルク1、2、3号機で実運用試験が完了しており、0.4%程度の発電ロスの改善に貢献している。この発電ロスの改善は、1,100メガワット、電気出カクラスのプラントでは1年当たり数億円の収益に相当するという。去る8月には、米国電力研究所 (EPRI) 主催の原子カプラントのパフォーマンス改善セミナーで、フォルスマルク・プラントでの実運用試験結果が発表され評価を得ている。また、火カプラント向けのシステム「PAX」についても、バッテンフォール社のアイバッケン火カプラントでの実運用試験がこの12月には完了する予定。 なお、「CMS」は今年度、日本原子力発電が東海第二発電所向けシステムのフィージビリティスタディを開始しており、PWR 向けのモデルについても、2001年度中にコンピュータソフト開発が開発する予定になっている。 |