[原子力産業新聞] 2000年12月14日 第2067号 <2面>

[ITER] 科学技術庁、国内候補地を状況把握

科学技術庁はこのほど、国際熱核融合実験炉 (ITER) を我が国に誘致した場合を想定し、国内候補地の状況を把握するために行う調査内容案を示し、原子力委員会に報告した。

我が国への ITER 誘致については原子力委員会 ITER 計画懇談会の場で審議されており、今月内には懇談会としての結論を出す予定で検討を進めてきた。国内誘致候補地を選定するためには、ITER 概要設計報告書に示されているサイト要件や設計仮定に対応していることや、誘致に必要な条件が備わっていることが必要となり、候補地の選定のためにも情報の整理を行っておくことが重要との判断から、今回の調査内容案をまとめるに至った。ITER 懇談会の報告を受け、原子力委員会として日本への誘致を行う方向性を打ち出した場合に調査を行うことになるため、今後専門家の意見を踏まえて内容の見直しもあるとしている。

調査内容は、(1) 土地条件 (用地面積、地盤、自然災害等など)、(2) インフラストラクチャともいうべき周辺ユティリティ条件 (電力供給、排熱、給水、物品輸送路など) (3) 社会環境条件 (生活環境、交通利便性、研究環境など) −に大きく条件分けしたうえで、それぞれの項目を検討する。各項目に必須となる「基本条件」に「望ましい条件」を加味している。

国内で誘致を希望している候補地のうち、基本条件に適合するものを原則的に対象としているが、候補地の一部が基本条件に合致しない場合においても、代替条件が示されれば排除しないとの方針も示している。

来年、ITER 建設・運転の共同実施に関する公式政府間協議が開始され、誘致を希望する極は来年中頃までに誘致サイトを具体的に示す必要がある。現在国内では、北海道苫小牧市、青森県六ヶ所村、茨城県那珂町の3か所が誘致の意向志を示している。国内への誘致が決まれば、これら地点に対して調査を進めることとなる。


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