[原子力産業新聞] 2000年12月14日 第2067号 <3面>

[フランス] 原子力産業界を大幅再編へ

「原子力」と「新技術」の2部門を持株会社の下に統合

フランスのL.ファビウス大蔵・経済・産業相は11月30日、原子燃料サイクル全般も含めた世界の原子力市場のリーダーとなることを目的に、国内原子力産業界を大幅に再編する政府計画を正式に確認した。

トリビューン紙がパリで開催した経済討論会の席上で、同相は仏政府が国営の原子力企業を1つの持ち株会社に統合するとともに、2種類の技術部門を創設する考えであることを明言。来年末までには新体制で活動を開始させる計画だと説明している。具体的には、TOPCO という名称の持ち株会社の下に「原子力」と「新技術」で2つの技術部門を設置することになるが、同社株の78%は政府が維持。4%を証券取引市場に出すほか、残りの18%は小口の投資家達の所有になる。管理体制としては、仏原子力庁 (CEA) のP.コロンバニ長官が TOPCO 理事会の議長に就任するとともに、仏核燃料公社 (COGEMA) のA.ローヴェルジョン会長兼最高経営責任者が同社管理委員会委員長職につく予定だとしている。

「原子力部門」はコジェマ、およびフラマトム社と独シーメンス社双方の原子力事業を統合したフラマトム・アドバンスド・ニュークリア・パワー社 (ANP) で構成されることになる。ここでは ANP の原子炉設計・建設および原子力サイクル・サービス関係の専門知識と、ウラン探鉱・ウラン化学から濃縮、燃料加工・再処理・エンジニアリングおよび関連サービスに至るコジェマの原燃サイクル全般の知見を統合、ファビウス大蔵・経済・産業相は、各社の力をこのようにまとめることによって法的な混乱や長年にわたった複雑な株保有問題で簡素化が図られると指摘。産業としての効率を向上させ、世界市場における指導的地位の確保を狙いたいと強調した。フラマトム社のD.ビニョン会長は、ANP 会長職に付くと見られている。

一方、「新技術部門」の方はエレクトロニクスなどの技術が専門で、フラマトム・コネクターズ・インターナショナル (FCI) とフラマトム社の非原子力部門、およびイタリアとの合弁半導体企業で CEA アンジュストリーが11%の株を保有する ST マイクロエレクトロニクス社を統合することになる。

なお、TOPCO はコジェマ株の100%、フラマトム ANP 株の66%を保有する予定だが、フラマトム ANP の残りの34%はシーメンス社の保有となる予定。なお、現在フラマトム社株の8.4%を所持している通信事業大手のアルカテル社は来年以降、これを放棄すると見られているが、FCI 社株と交換する可能性もある。また、仏電力公社 (EDF) が所有するフラマトム社株9.1%についても手離されるとの見方が有力だ。


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