[原子力産業新聞] 2000年12月14日 第2067号 <3面>

[フランス] ジョスパン首相、新規設備の必要性を否定

「EPR建設は時期尚早」

フランスのL.ジョスパン首相が11月28日の国民議会審議で、「欧州加圧水型炉 (EPR) 初号機の建設について判断を下すには時期尚早」との見解を示していたことが明らかになった。

同首相はフランスの将来のエネルギー・オプションに関する公開審議は適切な時期が来れば実施すると明言。EPR 建設についての政治決定は次期大統領選挙が行われる2002年まで棚上げになるとの産業界の予想を裏付けた形になった。ジョスパン首相のコメントは次の通り。

「我が国で稼働中の大規模な原子力設備は温室効果防止に大きな威力を発揮しているだけでなく、安価な電力を供給しているという事実を政府は十分認識している。これらの原子炉が今後も最大限の安全性を確保しつつ操業を続けることは非常に重要であり、我々もそうなることを保証する」「我々はまた放射性廃棄物の管理について、現在実行している暫定貯蔵よりも安全性の高い方法−すなわち、最終処分のように決定的な解決法を早急に探さねばならない。すでに申し上げたように、原子力の役割改革については、しかるべき時期が来れば民主的かつ科学的な審議に付す考えであり、その時は可能な選択肢すべてに関して考え得る限りの結果を想定して論議を尽くすことになる。もちろん、そこでは既存の原子力設備をどのように更新するかを詳細に検討することが中心となるはずだ」「仏電力公社 (EDF) がフラマトム社とシーメンス社のほか、ドイツの電力会社と共同で研究開発を進めている次世代型 PWR (EPR) では、技術的な性能と安全性という点で飛躍的な改善が図られつつある。しかし、それは産業規模の原型炉を建設する時期について今、検討を始めなければならない程十分とはいえない。また、現在の電力需要や既存原子炉の余寿命を考慮すると、近い将来に原型炉を発注する必要性は感じられない」

「従って、政府の当面の狙いは研究努力を急がずにエネルギー産業の結合力を維持していくことにある。既存原子力設備に十分な容量があるため、しばらくの間は新規原子炉の建設が中断することは避けがたい。しかし、既存設備の保守点検などの事業で需要があり、輸出関係の活動や研究開発に参画している限り、我々が競争力を失うことはなく、すべての将来オプションは開かれていると言える」


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