[原子力産業新聞] 2000年12月21日 第2068号 <2面>

[伊方2号機訴訟] 最高裁、原告の請求退ける

伊方に続き志賀、女川、「合法」との判断相次ぐ

四国電力伊方発電所2号機の増設をめぐり、地元住民ら21名が、国に対し増設許可の安全審査はずさんとして許可取り消しを求めていた行政訴訟の判決が15日、松山地裁で行われた。

同地裁の豊永多門裁判長は、原告が主張した伊方沖にある断層群の活動については「断層群の活動性に関する新たな知見が得られている」との認識を示しながらも「当初安全審査は適切に評価している」こと、また「現在の知見で評価しても、2号機の耐震安全性は確保されている」などとして、原告住民の請求を棄却した。原告は控訴を検討している。同裁判長は判決に際して、国、四国電力などに対して、改めて適切な安全規制と万全の運転管理の実施を求めた。

また北陸電力志賀発電所1号機 (石川県志賀町) と東北電力女川発電所1、2号機 (宮城県女川、牡鹿町) の周辺住民が、それぞれ電力会社に運転差し止めを求めた2件の訴訟についても、最高裁第3小法廷が19日、いずれも住民の上告を棄却する決定を下した。これによって住民がともに敗訴した先の二審判決が確定したことになる。

志賀訴訟で金谷利広裁判長、女川訴訟で元原利文裁判長はいずれも「住民側主張の実質は事実誤認や単なる法令違反で、上告理由に当たらない」と退けた。電力会社に原発の差し止めを求めた訴訟で最高裁の判断は初めて。上告していたのは志賀訴訟が北海道から九州までの192人、女川訴訟が女川町など宮城県の8人。人格権や環境権の侵害などを主張した。

原子力施設の設置許可をめぐり国を相手取った行政訴訟の最高裁判決は4年間に3件あり、伊方、福島第二の両訴訟でいずれも住民の上告を棄却している。


Copyright (C) 2000 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.
Copyright (C) 記事の無断転用を禁じます。