[原子力産業新聞] 2000年12月21日 第2068号 <2面>

[もんじゅ訴訟] 第1回口頭弁論開く

核燃料サイクル開発機構の高速増殖炉原型炉もんじゅをめぐり、周辺住民ら32名が国に原子炉設置許可処分の無効確認を求めた行政訴訟と、同機構に運転差し止めを求めた民事訴訟の控訴審第1回目となる口頭弁論が18日、名古屋高裁金沢支部 (川崎和夫裁判長) で行われた。

今年3月22日、一審判決で福井地裁は、原告の訴えを全面的に退け、原告が控訴していたもの。今回の控訴審では、(1) 耐震面について基本設計方針が妥当かどうか (2) ナトリウム漏れ事故を起した後に得られた新たな知見に照らして安全審査が合理的であったかどうか (3) 蒸気発生器の安全性の3点。

原告側は、事故後にサイクル機構が示した改善措置について、一審で、改善措置を取り入れ、設置許可処分を適法としたのは裁判所が安全審査を先取りしていることから、原子力安全委員会の専門技術的裁量権を侵しているとしている。これに対して国やサイクル機構側は、改善措置を施さないもんじゅは将来運転しないことや、裁判所は安全委員会の審議を審理しているのであって、安全委員会に代わって審査を行うものではないとしている。

また原告側が軽水炉とは全く型式が違うなどとして、軽水炉の基本設計を根拠に住民らの主張を退けたのは妥当ではないとする主張についてサイクル機構では、「基本設計論は原子炉等規制法から導かれている」などとして、軽水炉と高速増殖炉は異なる体系で審査することは現在の法体系に当たらないとの見解を示している。


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