[原子力産業新聞] 2000年12月21日 第2068号 <2面>

[核融合会議] ITER誘致問題の考え方まとめる

25日のITER懇に報告

原子力委員会核融合会議 (座長・井上信幸京都大学教授) は14日、国際熱核融合実験炉 (ITER) の推進に関する同会議としての考え方をまとめ、次回25日の ITER 計画懇談会に報告することとした。

先月6日に開催された ITER 計画懇談会の席上、吉川弘之座長が核融合界研究者らの ITER 計画に対する一致した考え方をヒアリングしたうえで、懇談会の結論を出したいとしたのに応えて開かれた。

核融合会議としてはまず、「燃焼プラズマの制御を実証することが最重要で不可欠のステップで、これまでの研究開発に基づき、燃焼プラズマ制御の実証が可能になったとの判断が世界的認識となった。ITER はそのための最も現実的な方式として推進されていることから、ITER の推進を図るべき」との考えを示した。

そのうえで、ITER 計画の推進にあたっては、人材育成と学術研究の自主性確保を前提として、多様な核融合研究の幅広い基盤の充実発展に十分な配慮が必要だとして、「核融合研究の総合的発展に必要な財源確保が不可欠だ」との認識を示した。さらに、ITER 計画に大学、研究機関、産業界が協力して取り組むための連携・協力の仕組みやあり方を今後検討すべきとしている。

一方で、核融合会議内には、我が国に誘致された場合、大学の核融合研究の継続に必要な財源確保に影響が生じることを心配する意見があると指摘。「ITER を我が国の核融合界全体で推進するための仕組みやあり方が事前に確立されない限り、ITER 誘致を拙速に決定すべきではない」と付け加えるなど、核融合界が必ずしも意見の統一を図れていないことを伺わせる点も見られる。

我が国への ITER 誘致をめぐっては、北海道苫小牧市、青森県六ヶ所村、茨城県那珂町の3か所が名乗りをあげている。こうしたことを踏まえ ITER 懇談会では国内誘致すべきかどうかの結論を年内中にも出すこととしている。


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