[原子力産業新聞] 2000年12月21日 第2068号 <7面>

[ITER] 非公式政府間協議、共同実施協定で基本合意

詳細は公式協議の場へ

国際熱核融合実験炉 (ITER) 計画の第4回非公式政府間協議が7日と8日の両日、東京都内で開かれ、協議の最終報告書とりまとめに関して話し合われた。

会合には、ITER 計画に参加している3極 (日本、EU、ロシア) が参加。日本側からは小中元秀科学技術庁長官官房審議官を代表とし、科学技術庁、外務省、日本原子力研究所等の関係者が出席した。

非公式政府間協議は、ITER 共同実施のための協定に盛り込むべき内容を継続的に検討してきたが、今回の会合で、これまでの協議の基本的考え方を示すものとして最終報告書をとりまとめた。

公式な政府間協議の前段階であるため、今回の報告書は法的に各極を拘束するものではないが、それによると、共同実施協定の締約者は、現在 ITER 工学設計活動協定を結んでいる日本、ユーラトム、ロシアに加え、条件を満たすそのほかの国としている。具体的には米国、カナダが想定されている。

ITER を建設・運営する「ITER 事業体 (ILE)」の設立については、国際機関または立地国の国内機関として設立することを確認した。

事業体が国際機関となった場合には、各締約者の代表で構成する理事会の設置や、責任者として事業体の所長をおく。事業体の要員の形態は、事業体による直接雇用や締約国からの派遣、契約に基づく企業の技術者雇用等が考えられている。

報告書は費用分担に関してもまとめている。建設段階の費用は、共通部分を締約者間でなるべく均衡のとれる形で分担し、共通でない部分は立地する締約者が負担。サイト費用も立地国の負担。運転段階の費用は締約国間で分担するほか、廃止措置の段階では、事業体が除染までを行い、それ以降は締約者の責任となる。

そのほか、ITER の科学的成果は全締約者に等しく公開するとともに、実験の機会は各締約者の貢献に配慮しつつ科学的観点に基づき配分するとしている。

また、来年中頃までに各極からサイトが提案された場合、サイトに固有のサイト適合設計、安全解析、コスト等の技術的事項を検討するための調整技術活動の実施体制に関する基本認識も報告書に盛り込まれた。


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