[原子力産業新聞] 2001年1月5日 第2069号 <3面>

[ベルギー] 政府委、原子力オプション維持を勧告

早期閉鎖にも否定的見解

ベルギーの今後20年間のエネルギー供給オプションについて審議してきた同国政府の特別委員会は先月18日、原子力オプションはぜひとも維持すべきだとする見解を明確に打ち出した報告書を提出した。

この委員会は電源構成など将来のエネルギー政策を見直すために個々の発電オプションが及ぼす影響について包括的な審査・分析を実施するため、99年2月に当時エネルギー相だったJ−P.ポンスレ氏が電力関係者や学識経験者など16名の専門家を集めて設置したもの。報告書は現在、現エネ相であるO.デレーゼ氏が審査中だが、要点は次のようになっている。

(1) 原子力は放棄すべきではない

原子力発電は温室効果ガスを排出しないエネルギー源なのでそのオプションは維持すべきである。国内で稼働するいかなる原子炉にも早期閉鎖を正当化されるような科学的、技術的な根拠は存在しないし、技術の目ざましい進歩により安全性は日々向上すると同時にコストや環境への影響も格段に軽減されてきている。政府は使用済み燃料の再処理停止決定についても考え直すべきである。

(2) 原子力には競争力がある

当委員会ではたくさんの発電技術オプション -- 原子力に関しては3種類の炉型 -- について2010年までの燃料コストや投資費を含む非燃料コストを比較した。その結果、原子力の発電コストは大型 PWR で kW時あたり1.28ベルギーフランとなり、その他の電源の1.22〜1.7フランと比べて非常に安かったことが判明。3種類の炉型すべてが最も効率的なコンバインド・ガス発電所の1.74フラン/kW時を下回っていた。

(3) 再生可能エネルギーの潜在能力は限られている

太陽光発電は技術的およびコスト的な観点から少なくとも2020年までは大規模な代替エネルギー源としては除外。風力発電では2010年までに6%近くを発電する可能性があるが、この場合、政治的な意思決定と年間を通じた最適な風量の両方が満たされることが条件だ。バイオマス発電のシェアが4%を超えるとはないと考えられる。

(4) コ・ジェネの潜在能力は非常に限られている

2020年までに最大限予想される現実的な開発規模は170〜230万kW 程度だ。

(5) 天然ガス火力にはかなりの潜在能力がある

潜在能力はあってもそれは原子力を補完する程度で、代替できるほどではない。

同報告書は今後、エネルギー省だけでなく国内外で徹底した審査を受けることになるが、ポンスレ前エネ相は「現エネルギー相のデレーゼ氏が招集した審査チームはどのメンバーも反原子力派との噂が高く、審査の手順には少なからず危惧を感じている」とコメントした。


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