[原子力産業新聞] 2001年1月5日 第2069号 <3面>

[EC] フラマトム社とシーメンス社の原子力事業統合を承認

「コジェマの不参加が条件」

欧州委員会 (EC) は12月6日、フラマトム社とシーメンス社が双方の原子力事業を統合して設立した合弁企業であるフラマトム ANP (Advanced Nulcear Power) 社を最終的に条件付きで承認したことを明らかにした。

事業統合で7月に最終合意に達して以降、両社はそれぞれの原子力部門を分離し、フラマトム ANP として全面的に活動を始める準備を進めていた。EC は4か月間にわたってこの統合が欧州市場、特に PWR 用燃料集合体の市場に潜在的に及ぼす影響について審査した結果、次の2つの条件を満たせば統合を認めるとの見解を打ち出したもの。

すなわち、(1) 現在フラマトム社株の34%を保有するとともに、7月の合意時点には原燃サイクル分野で新会社への協力を約束していたフランス核燃料公社 (COGEMA) は新会社の事業から完全に手を引くこと。これはフラマトム社とコジェマの分離をうたった仏原子力産業の構造再編計画に則った措置。ただし、新しい持ち株会社は継続して両社を全般的に管理する (2) 仏電力公社 (EDF) も産業構造再編計画に伴い、現在保有するフラマトム社株9.1%を手放し、資機材の調達政策を一層オープンにすること -- となっている。

両社の事業統合に条件をつけた理由を EC の報道官は次のように説明している。「新たな合弁企業の強大さは、欧州の全 PWR 79基中、58基が稼働するフランスではフラマトム社が歴史的に強い立場を保持し、原子炉の入札プロセスも欧州の他の市場と比べると閉鎖的で競争性に欠けていたことに起因する。EDF はほとんどの資機材をフラマトム社から独占的に調達してきたし、ほんのわずかな数ながらそれ以外の企業に発注することはあっても発注先は大抵シーメンス社。EDF はまた、選別した企業に限って原子炉の入札を呼びかける傾向があった」。

「EDF も今後は、主要なライバル会社である英米合併企業の BNFL /ウエスチングハウス/ ABB やスペインの ENUSA など新たな供給者に積極的に働きかけていくとの方針を打ち出している。また、EDF の所有者である仏政府も市場の競争原理とコスト低減を保証する最良の方法であるオープンで透明性のある資機材調達政策を全面的に支援していくことになる。具体的には、仏政府は EDF が燃料集合体で入札を実施する際、すべての燃料集合体供給業者に体系的に声をかけるよう保証するほか、新型燃料集合体についても品質検査期間が短縮されるよう出来うる限りの支援を提供する」。

「仏政府はさらに、EDF のフラマトム社株売却を保証するが、このことは同社が PWR 燃料集合体事業に関してフラマトム社の判断から離れ、独自の資機材調達政策を展開するのに大きな助けとなるはすだ。また、このように仏市場への参入を阻んでいた構造的な障壁を取り除くことによって BNFL や ENUSA には新たなビジネスチャンスが提供されるだろう」。


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