[原子力産業新聞] 2001年1月11日 第2070号 <1面>

[原産] 新年名刺交換会開く

21世紀原子力に一層の役割期待

日本原子力産業会議は5日、2001年の新年名刺交換会を東京都内のホテルで開催した。会場には約1,500人の関係者が集い、新たな世紀の幕開けと年頭にあたって誓いを新たにした。

冒頭、挨拶した西澤潤一原産会長は、「エネルギー問題は食糧問題と並んで重要な問題」としたうえで、「原子力については捨てて顧みないわけにいかない」と原子力利用の重要性を強調した。また「原子力は世界的にみると大変北風が吹いている」としながら海外での原子力に否定的な動きなどに触れ、「将来を見越した場合そのようなことを言うわけにいかない」として、資源に乏しい日本で着実に原子力利用を進めていく必要があるとの見解を示した。また西澤会長は、これまでのトラブルに関して「最近の問題はむしろ知識の問題というより心がけの問題だ」と述べ、十分な安全対策とともに、関係者一人一人の安全意識向上が重要との考えを示した。

このあと来賓として挨拶にたった佐川堯科学技術政策担当大臣は、就任にあたり「原子力は絶対に安全でなければならない」としておおきなしめいをはたしていくけついをのべるとともに「科学技術を扱うのは人間であり、正しく使うということが、大きな問題だ」として、科学技術を扱う人間の倫理が重要との考えを示した。また笹川大臣は、原子力委員会、原子力安全委員会を所管する総合科学技術会議の役割にふれるなかで、「21世紀が幸せな日本となるため産業立国から科学技術創造立国に衣更えしていく年にしたい」と年頭の決意を述べた。

続いて西川太一郎衆議院議員(現経済産業大臣政務官)は、「21世紀という新時代の始まりは、原子力行政にとっても新しい時代の幕開けとなった」として、原子力委員会などの機能強化に加え、省庁再編にともなう原子力安全・保安院の設置など、「原子力を安全面から支えるための万全の体制を構築する」との見解を示した。また、昨年の原子力防災対策や核燃料サイクル分野での進展を振り返った上で、環境問題やエネルギー資源問題と言った複合的な目標解決にあたって「エネルギー需要の増加に対応する現実の課題を真剣に考えたとき、原子力発電の果たす役割はますます大きくなるものと確信している」と強調した。

また町村信孝科学技術庁長官は、「これからも安全性、廃棄物処分などを十分に配慮しながら、原子力発電が日本の経済のなかでしっかりと位置づけられるよう努力していく必要がある」と決意を述べ、プルトニウムなどの利用を含めて原子力研究開発のビジョンを示した長期計画に沿って「経済産業省などと連携しながら、これからもしっかりやっていきたい」とした。

この後、那須翔東京電力相談役の音頭で乾杯が行われ、会場に歓談の輪が広がった。


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