[予算] 2001年度原子力予算案決まる
文部科学省 3,144億円・経済産業省 1,604億円
昨年末に閣議決定された2001年度政府予算案のうち原子力関係予算案の詳細が16日、原子力委員会で示された。文部科学省関連の原子力予算は、総額で3,144.4億円 (対今年度比1.5%減)。このうち、一般会計が1,633.9億円 (同5.1%減)、電源特会が1,510.5億円 (同2.7%増) となった。一方、経済産業省分は、一般会計7.9億円、電源特会1,596.4億円の総額1,604.3億円 (同5.5%増) が提示された。
安全対策充実を継続
文部科学省に関連する予算案を機関別にみると、まず日本原子力研究所は1,033.3億円で今年度比4.5%減の提示となった。このうち、核融合研究費として総額110.6億円を計上している。JT-60 の運転管理等に62.1億円が見積もられたほか、工学設計活動費用を含む国際熱核融合実験炉 (ITER) 計画に対して29.6億円が充てられている。
さらに、大型放射光施設 (SPring-8) 関連の研究開発に54億円、高温工学試験研究に31.2億円などとなっているほか、中性子科学研究には47.2億円が充てられ、新たに建設に着手する大強度陽子加速器計画に39.6億円が計上されている。来年度より開始する研究課題として社会技術研究に13億円も盛り込まれた。
核燃料サイクル開発機構に対しては、1,349.4億円 (対今年度比0.7%減) の総額が示された。一般会計が296.1億円、電源特会多様化勘定が1,053.3億円となっている。競争力のある FBR サイクル技術の検討を進める FBR サイクル開発戦略調査研究は来年度から2期目に入る予定で、34.1億円が計上されたほか、「もんじゅ」の維持管理等に105.7億円が充てられている。長期停止に伴なう設備の点検・検査等のための23.8億円が盛り込まれた。
また、昨年11月に再処理を再開した東海再処理施設の運転費用として54.6億円が計上された。
4月から独立行政法人となる放射線医学総合研究所は、今年度より2%減額の148.3億円の予算案となった。来年度での新規計上分としては、放射線感受性遺伝子研究に4.6億円、低レベル放射線の生物影響研究に1.9億円などが含まれている。
また、理化学研究所は前年度に9.5%プラスされ、7.4億円増額の85億円の予算案が示された。主に RI ビームファクトリー計画の進展に伴う増額が盛り込まれたもの。
経済産業省・資源エネルギー庁の2001年度予算案は、「環境保全や効率化の要請に対応しつつ、エネルギーの安定供給を実現する」との基本目標は変わらないとしながらも、需給両面の変化を踏まえ、総合的なエネルギー政策を再構築する必要性を指摘。2001年度から措置できるものについては、国の政策資源の重点配分、既存予算の効率化を図っていくとしている。
このような状況の下で、同省の2001年度原子力関係予算案は、一般会計7.9億円 (今年度予算額=3.4億円)、電源特会立地勘定分1,334.8億円 (同1,245.9億円)、多様化勘定分261.5億円 (同271億円)の、総額1,604.3億円 (今年度予算比5.5%増) と、大幅な増額で提示された。
内容を見ていくと、一昨年の JCO 施設での臨界事故の影響および、省庁再編にともない、従来が科学技術庁所掌分だった業務が経済産業省の原子力安全・保安院に移管されたことなどから、防災対策の実効性の向上のための費用として、「原子力発電施設等緊急時対策技術等委託費」が31.3億円 (今年度予算額=17.4億円) で示されたほか、「原子力発電施設緊急時安全対策交付金」も39.7億円 (同10.6億円) で示されるなど、原子力安全・防災対策関連の費用は227.3億円 (同203.4億円) と、増額提示された。
また、現在懸案となっている原子力発電所の立地推進については、来年度も積極的に取り組んでいく方針で、広報・立地促進のための費用として1,160.9億円 (今年度予算額=1,108.5億円) が計上されている。このうち立地促進分は総額1,075.6億円 (同1,032.4億円) で、主な内訳は電源立地特別交付金に474億円 (同471億円)、企業立地支援補助金に15億円 (同10億円)、長期発展対策交付金に82億円 (同77億円) などとなっている。
一方、青森県・六ヶ所村に建設が進む再処理工場に代表される核燃料サイクル関連にも引き続き力を入れていく方針で、再処理施設、放射性廃棄物などに関する安全評価のための技術的知見の集積を行う「核燃料サイクル施設安全対策技術調査等委託費」に16.6億円が計上された。また核燃料サイクル施設等安全対策のための費用、総額23.5億円が新規で示された。
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