[原子力産業新聞] 2001年1月18日 第2071号 <1面>

[原子力安全委員会] 中間貯蔵施設安全審査指針策定へ

乾式貯蔵対象に

原子力安全委員会は、原子力安全基準専門部会に中間貯蔵施設指針検討分科会を設置し、使用済み燃料中間貯蔵施設の安全審査指針策定に向けた検討に入った。

使用済み燃料の発電所外貯蔵に関しては、1999年6月に原子炉等規制法が一部改正され、2010年までの貯蔵事業の開始に向け法規制面での環境は整っている。これを踏まえた昨年11月の原子力安全委員長からの指示に基づき、12月20日の原子力安全基準専門部会会合で同分科会の設置が決定されていた。第1回の会合が16日に開催され、分科会主査には、東邦夫京都大学工学部教授が選ばれた。

今回の指針策定の検討にあたっては、(1) 使用済み燃料貯蔵施設は核燃料サイクル施設に関する施設と位置づけ、「核燃料施設安全審査基本方針」に基づき安全指針を策定する (2) 貯蔵施設の貯蔵方式は、金属キャスクを用いた乾式貯蔵を対象とする (3) 1992年の原子力安全委員会が了承した「原子力発電所内の使用済み燃料の乾式キャスク貯蔵について」などの既存指針類を参考とする ---- などが基本方針とされている。

分科会で具体的に検討する事項として、 (1) 安全設計の基本的な考え方により、除熱・密封・遮蔽・臨界防止の各機能が備わっており、キャスク本体・蓋部・バスケット等の構造強度部材が設計貯蔵期間を考慮した材料の選定と基本的安全機能が失われないこと (2) 基本的安全機能を有する設備・機器の位置づけの必要性 (3) 施設の機能に応じた耐震重要度分類の必要性 (4) 安全評価の考え方として、想定すべき異常事象の選定や安全評価基準の策定、立地評価事故の想定の必要性 ---- が挙げられた。

国内でも、使用済み燃料の乾式貯蔵施設の実績があり、東京電力の福島第一原子力発電所内に使用済み燃料の入った乾式貯蔵容器が9基貯蔵中であるほか、日本原子力発電の東海第二発電所でも2001年度の貯蔵開始に向けて建設が行われている。

今回の検討対象となる使用済み燃料貯蔵事業では、発電所からの搬送に用いたキャスクをそのまま貯蔵に利用する形態が考えられていることから輸送時に適用される基準や、事業当事者となる民間の設ける基準との整合性も考慮していく必要が指摘されている。分科会では今後、こうした点も踏まえ、1年程度を目処に指針の策定を検討していくことになる。


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