[原子力産業新聞] 2001年1月18日 第2071号 <2面>

[原子力委員会] 新原子力委がメッセージ

長計踏まえて対話を重視

中央省庁再編に伴い内閣府に移行した原子力委員会は、新世紀の始まりにあたり、委員会の役割について再確認するとともに、社会の期待に応えるためにどのような改革が必要なのか、委員会としてのメッセージを発信することとした。

メッセージは、一連の原子力を巡る事故・不祥事により、国民の不安や不信が高まる中審議を開始し、昨年決定した長期計画に触れ、「原子力関係者のみならず、国民・社会や国際社会に向けたメッセージとしてまとめられた長期計画は総合科学技術としての原子力の広がりを示すもの」と位置づけた。さらに、「原子力の全体像と長期展望を示すとともに、現実の課題との調和を図るところに特徴があり、理念型、課題解決型である」と評価したうえで、委員会の今後の主要な任務は、長期計画を柱とする原子力政策を誠実にまた積極的に具体化し、着実に進めていくことであると述べている。

「21世紀の原子力委員会のあり方」については、「原子力委員会に対する意見に耳を傾ければ、権威ある原子力委員会を望む声や、関係省庁から独立して等距離に位置する委員会を望む声も多い」とするとともに、「原子力政策円卓会議や原子力委員会に設置された専門部会および懇談会については、政策決定への国民参加、評価機能の強化等が求められている」との認識を示している。

「原子力委員会の設立目的およびその後の状況変化を踏まえれば、今回の中央省庁等改革による内閣府への移行を契機として、原子力委員会は、21世紀社会においてその機能をより発揮し得るよう、努めなければならない」と認識。委員会自らが長期計画の具体化という任務を果たすとともに、「委員会はいかにあるべきか、常に自らを評価しつつ、柔軟かつ機動性豊かな組織を目指して、議論を進めていく」ことをうたっている。

また、国民・社会、国際社会の理解と協力を得ることの重要性に関して、「高度に民主主義が進んだ国では、いかなる政策も国民社会の理解と協力なしには進められないことを銘記すべきである」と指摘。委員会として、「いつでも、どこでも、だれとでも対話に心がける」ことを基本に、国民一人一人が原子力を自らの問題として考え、理解を深めてもらえるよう一層努力するとの方針を示した。

さらに、国際社会に対しても、我が国の原子力利用について理解と信頼を得ることが必要であり、原子力平和利用の理念と体制を国際社会に明確に伝えていくと結んでいる。


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