[原子力産業新聞] 2001年1月18日 第2071号 <3面>

[米国] 原子力発電コストが最優位

過去10年間で初めて

米国でいくつかの信頼性の高い大規模な電力供給源のうち、原子力の発電コストがこの10年間で初めて、石炭火力を下回る最低価格となったことがマグローヒル社の一部門であるユーティリティ・データ・インスティテュート UDI) の調査で明らかになった。

この調査結果の存在は米原子力エネルギー協会 (NEI) が9日に指摘していたもので、燃料費と運転・保守 (O&M) 費を含めた99年の平均発電コストは原子力がkW 時あたり1.83セントと最も安く、それ以下は石炭火力の2.07セント、石油の3.18セント、天然ガスの3.52セントの順。1年前の98年実績では最安価だったのは石炭火力の2.07セント/kW 時で、原子力は2.13セント、石油が3.24セント、天然ガスが3.3セントと続いていた。

NEI のM.ファーテル副総裁によると、実際に80年代半ば以降、原子力発電は産業界ぐるみで取り組んでいた安全性改善対策のため、それ以前の時期に享受していた発電コストにおける優位を石炭火力に明け渡していた。しかし、「低コスト電源として再浮上してきた今、かなりの部分を原子力に委ねる多様化したエネルギー・ミックスを米国が必要としていることを思いおこさせることになった」と指摘。原子力は経済や環境保全上非常に価値が高いというだけでなく、信頼性、安定供給性、安定価格などの点でも有益だということを州政府や連邦政府の政策立案者を含むすべての電力消費者が認識すべきだと訴えた。ファーテル副会長はまた、「エネルギー市場における総合コストが平均で2.5〜3セント/kW 時だと想定すれば、米国の原子力発電所はすでに非常に競争力が高いと言える」と強調。今回の調査対象期間の後、2000年9月までで原子力の総発電量は5,712億kW 時と前年同期の実績を5.1%上回っており、99年の年間発電量が7,280億kW 時だった事実を考えると、2000年の総発電量は4%増加する見込みであることを明らかにした。


Copyright (C) 2001 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.