[原子力産業新聞] 2001年1月18日 第2071号 <3面>

[スウェーデン] 最新の世論調査で77%が早期閉鎖に反対

スウェーデンで実施された原子力に対する最新の世論調査で、77%の同国国民が操業中の原子炉を早期閉鎖することには反対意見であることが判明した。

この調査は同国の配電会社協会である Swedenergy がストックホルムの市場調査機関であるデモスコップに委託して昨年末に一千人の国民を対象に行ったもの。前回調査の結果から目立った変化はなく、原子力からの段階的撤退という同国政府の政策を支持する国民の数は極めて限られていることが改めて確認されたとしている。

すなわち、53%の国民が安全性が保たれている限りは同国の既存原子炉11基の運転継続を支持するとしているほか、24%が運転年数に上限を設けない操業を希望。このうち7%は既存の原子力開発計画の拡大、もし必要であれば新規原子炉の建設にも賛成、との見解を示している。一方、脱原子力政策を支持する国民の割合は21%で、いくつかの原子力施設を出来るだけ早期に閉鎖。残りは順次始末を付けていくべきだとの考えを表明している。

また、将来のスウェーデンのエネルギー・ミックスにおける原子力の役割を決定付ける際には、83%という圧倒的多数が「原子原子力発電は実質的に温室効果ガスを排出しない」という事実を考慮に入れるべきだと回答。これに関連して、環境保全目的で議会が設定した3つの目標のうちどれが最も重要か?との問いに対しては73%が「温室効果ガスの排出抑制」と答えており、以下、「水力発電開発されていない河川の保護」(13%)、「脱原子力」(10%) という順だった。なお、全体の傾向としては、スウェーデンが原子力利用を始めたことは「良かった」または「どちらかと言えば良かった」とする意見が76%に達していたのに対し、「あまり良くないことだった」あるいは「全然良くない」との意見は21%に留まっている。また、原子力利用の拡大や新規発電所の建設を支持する人の割合は、今回若干低下しており、男性の中にこの傾向が多く見られたと指摘。それでも男性は概して女性よりも原子力支持派が多く、特に年齢が49才以上、所得の高い人にその傾向が強かったとしている。さらに、比較的高学歴の人はそうでない人より温室効果ガス抑制に高い優先順位を付けていたこと、合計で53%の人々が核解体による燃料の国内原子炉での利用に理解を示し、否定的見解の合計である35%を上回ったことが明らかになっている。


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