[原子力産業新聞] 2001年2月8日 第2074号 <1面>

[原子力部会] サイクル技術で小委員会設置

中立的立場から助言

経済産業相の諮問機関としてあらたに発足した総合資源エネルギー調査会の原子力部会 (部会長・近藤駿介東大院教授) は2日、第1回目となる会合を開き、同調査会の総合部会へ報告する骨子案をとりまとめると共に、核燃料サイクル諸事業における核燃料サイクル開発機構などから民間への技術移転、民間事業への技術定着、国際技術協力などといった様々な技術的課題について、事業者に対して中立的な立場から適切な助言を行うことなどを目的とした「核燃料サイクル技術検討小委員会」を、原子力部会の下に設置することなどを決定した。


骨子案「原子力の技術基盤の確保について」は、「原子力発電が中長期的に中核電源としての役割を果たしていくためには、その技術基盤および安全基盤を中長期的に確保することが重要」との観点から、原子力部会が「安全性、信頼性、効率性、経済性などを維持向上させるとともに、時には大幅な改善を可能とする仕組みなど」である技術基盤 (安全基盤については、原子力安全・保安部会で審議) について論点整理を行ったもの。現在の原子力業界の現状評価などを実施し、問題点に対する対応策を挙げる形式で取りまとめられている。

具体的には、すでに民間主体で事業が定着している分野については着実な保守作業の実施、事故発生時の民における対応能力の維持、新増設プラントが減少する中での技術維持、効率化、ハード面のみならずソフト面にも踏み込んだ海外市場への展開などについての対応策を挙げている。

一方、今後の事業化に向けた取り組みが必要な分野のうち、MOX 燃料加工、ウラン濃縮など国が開発した技術を民間へ移転を行う分野では、「国がその円滑かつ確実な移転を支援し、さらに移転後も一定の下支え活動が必要」として、関連技術を核燃サイクル開発機構から日本原燃へ円滑に移転することおよび、原燃には移転された技術を維持・発展させるための継続的研究を行うなど、技術力向上などの必要性を指摘。また FBR および関連する核燃料サイクルの技術開発など、実用化にはかなりの時間がかかると思われる分野については、基礎的研究や安全確保のための研究を、サイクル機構など研究機関が長期的に推進できる環境作りを国が行う必要があるとしている。

また、人材の確保および育成については、原子力の利用を「安全確保を大前提にして進めていくためには、国として優れた人材を供給し続けることが必要」と強調。提案公募技術開発予算の大学に対する枠の設定や、社会人への再教育として原子力工学を学ぶ機会を確保するため、学位授与機能を持つ原子力教育機関の設置の可能性を検討することなどを提言している。


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