[原子力産業新聞] 2001年2月8日 第2074号 <1面>

[原子力安全委員会] 規制調査の概要が明らかに

建設・運転段階も対象に

原子力安全委員会は5日、昨年6月19日の委員会決定に基づき本格的に実施する「規制調査」の概要を明らかにした。それによると、建設段階の施設に対する規制調査2件と運転段階の規制調査2件を行う計画だ。

安全委員会は一昨年の JCO 臨界事故調査委員会の報告を踏まえ、安全確保のため規制行政に対する後続的な調査が重要と判断。昨年、2月から3月にかけ試行的に、核燃料加工施設や研究炉、発電炉を対象に規制調査を実施。設置者等の安全確保の状況や規制区分毎の特質を現場で把握し、行政庁の安全規制業務を整理するとともに、本格的な規制調査に向けて課題を整理するなどしていた。

規制行政庁が行う設置許可後の規制について建設および運転段階においても、進捗状況や実施状況の把握・確認を行うことを決めたうえで、昨年9月18日から建設段階の施設について、また11月6日からは運転段階の施設を対象として行政庁からの報告を受けてきた。今回行われる規制調査は、行政庁から出された許認可に対して、詳細に実施状況を把握・確認することがねらい。

建設段階での規制調査は、安全審査の際の基本設計や基本的設計方針が的確に実現されているかどうかを確認することが目的。今回は東北電力東通原子力発電所の第4回工事計画と、サイクル機構大洗工学センターの核燃料物質の使用変更に対する許可が対象になった。

昨年7月に認可された東通発電所の工事計画に関しては、設置許可の際に重要事項が指摘されてはいないが、今回の調査で安全設計評価に際して考慮されている異常影響緩和系の工事計画が事故の解析条件や事故防止対策を適切に反映しているかなどを確認する。

サイクル機構大洗工学センターの場合は、昨年8月に臨界管理の方法を補強するなどを目的とした変更に対する許可がおりた照射装置組み立て検査施設について規制調査が行われる。核燃料施設安全審査基本指針の考え方が適切に反映されているかどうかを、現地調査を含めて、確認する予定だ。

一方、運転段階の調査では、原子炉等規制法の改正によって義務づけられた保安検査の結果に対して行われることになり、中部電力浜岡原子力発電所と三菱原子燃料東海製造所の保安検査の結果が対象になる。これら2件は、過去に行われた行政庁からの報告のうち任意に選ばれたものだという。

調査では、技術的能力の維持を含め安全確保の適切な対策が取られているかを調べる。それぞれの施設で、委員会が高い関心を示す教育訓練がどのように実施されているかを重点的に、行政庁によって行われた保安検査の方法や具体的な検査状況について、現地調査を交え把握・確認するという。安全委員会では、一連の規制調査をなるべく早い時期に行いたいとしている。


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