[原子力産業新聞] 2001年2月8日 第2074号 <2面>

[原研] 東海研に中性子標準校正施設が完成

中性子ほか各放射線にも対応

日本原子力研究所はこのほど、東海研究所内に中性子標準校正施設を完成し、本格的な運用を開始した。これによって、中性子線用測定器の高精度の特性試験や校正、ならびに中性子被ばく評価の研究が行われることになる。

地下1階、地上2階からなる中性子標準校正施設には、バンデグラフ型加速器を設置し、陽子等を加速して重水素などの標的に衝突させ、核反応により発生する様々なエネルギーの中性子線を試験や校正のために利用する。既設の射線標準施設を合わせると照射室の数が10室で、照射装置9台の規模。ガンマ線、エックス線、ベータ線、中性子線の各放射線に対応できる世界有数の校正施設だ。

これまで、加速器を用いた中性子線用測定器の特性試験や校正は電子技術総合研究所や東北大学で研究が実施されてきたが、今回の校正施設の完成により信頼性の高い特性試験、校正が大規模に迅速に可能になったという。

今後、同施設の整備が進むと、ガンマ線照射を中心とする既存の放射線標準施設とあわせて、世界的な総合的放射線標準校正施設として、国内のみならずアジア地域での中性子標準校正とともに放射線利用の促進を放射線従事者の安全確保に寄与するものと考えられている。


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