[原子力産業新聞] 2001年2月8日 第2074号 <3面> |
[米国] 電力、濃縮市場での国際貿易委員会のダンピング裁定に異議国際貿易委員会 (ITC) が米濃縮ウラン市場における欧州の2企業のダンピングを認める予備判断を下したことに対し、米国の電力会社特別グループは「燃料コストの高騰、ひいては原子力発電所の早期閉鎖にもつながりかねない」として警告を促す声明を発表した。 米国で原子力発電所を操業する19の電力会社で構成されるこの特別グループは、USEC の主張は商法を濫用することにより米国の濃縮役務事業における独占状態を守ろうとするものだとして批判。同社の言い分が通れば燃料コストが増加し原子力の発電コストを上昇させることになる。競争力の低下から原子力発電所は早期閉鎖に追い込まれ、結果として多くの雇用が失われることになると訴えているもの。同グループの主張のポイントは次の通り。 (1) ここで問題となっているのは生産品ではなく濃縮サービスであり、具体的な生産品の輸入に関して救済対策の適用を定めた商法の対象外。今回のような国際的なサービス契約にダンピング防止法を適用することは世界でも最大のサービス輸出国である米国にとって厄介な前例を残すことになる。 (2) USEC はすでに米国の濃縮役務市場で73%のシェアを占めている一方、ダンピング疑惑の対象となったユーロディフとウレンコのシェアは両方足しても20%程度。USEC の老朽化した設備やロシア産のウランに依存することは供給中断のリスクを増大させるため、欧州企業2社との関係維持は電力会社にとって非常に重要だ。 (3) USEC が希望しているように濃縮コストを30%上げると、米国の原子力発電経費は年間合計で3億ドルも膨張。原子力発電業者は競争力維持のために経費の増加をその他のコスト削減、もしくは施設の閉鎖で相殺せざるを得なくなる。経費の増加によって例え1基でも原子炉が閉鎖に追い込まれれば、それだけで500人の雇用が失われることに繋がるだろう。 |