[原子力産業新聞] 2001年2月15日 第2075号 <2面> |
[原産] 人材問題を検討開始2ワーキンググループを設置日本原子力産業会議は7日、基盤強化委員会人材問題小委員会 (委員長・鷲見禎彦日本原電柱長) の第1回会合を開き、原子力分野の人材確保をめぐって現状認識をはかるとともに、ワーキンググループ設置による詳細な検討など、今後の設置方針で意見を交わした。 人材問題小委員会は、原産会議が昨年設置した基盤強化委員会のもとに作られた専門的な検討委員会。基盤強化委員会が、原子力工学を専攻する学生数の減少などから原子力の人材確保が困難になってきていると認識したうえで、新長期計画でも原子力が設計や物作りにおいて技術力・人材を従来どおりの規模で維持することが困難になりつつあることを指摘している点を重く捉え、人材の確保や養成、技術の継承といった課題を早急に取り組むべき問題として集中的に検討していくねらいで設けた。 この日の会合では、意見交換に先立ち事務局から原子力の人材確保をめぐる最近の動向が紹介された。昨年未にまとめられた原子力産業実態調査によると、民間の原子力関係従事者数は1999年末で約5万4,400人。今後も横ばいで推移すると見られるが、研究者の数は減少が目立ち同年末で約1,700人で、88年度のほぼ半分になったという。また、大学で原子力工学を学ぶ学生数も、特に95年以降原子力工学部入学者数が100人以上減少していることが明らかにされた。さらに、原産が先頃行った人材問題に関するアンケート調査結果として、(1) ほとんどの電力会社やメーカーで建設経験の豊富な技術者の高齢化や世代間のギャップで技術継承が懸念される (2) 原子力部門の再教育が必要性であり、電力間の人材交流を踏まえた建設技術の継承や社会学・倫理学といった教育も必要 (3) 優秀な若い人材確保のためには、エネルギー・環境面での原子力の重要性の理解を高めてもらう --- などとする回答があったことが紹介された。 これらの報告を受けて委員からは、「原子力発電所では機械・電気系の卒業生も多く必要だが実際にはこうした学生は原子力に興味を示していない状況」「現場の人材の質は発電所運営の課題に果敢に挑戦させることで高まる」「協力会社も含め現場の人材のレベルアップ方策を考える必要もある」「自由化の中で生産性の向上が求められる保修作業は労働集約型から技術集約型に変化せざるを得ないとの視点を検討に盛り込むべき」「産業界として目指すものを明確にしなければならない。欧米が足踏みする間に競争力のある日本のオリジナル技術を開発していくのならば人材確保への抜本的な取組みがなければいけない」「質の良い人材確保のためには新しい技術ニーズを明確に示す必要がある」--- などの意見が述べられた。 続いてこうした意見を踏まえたうえで、今後の検討方針が話し合われ、原子力界の現状や課題と将来の人材育成方策に具体的成果を期待できる取組みを検討していくことで合意。(1) 原子力発電所の保修など原子力施設での人材育成方策 (2) 将来の原子力を担う人材と大学での人材育成のあり方 --- の2つの柱について、小委員会のメンバーで構成されるワーキンググループを設置し、およそ1年をかけて検討していくことが了承された。 |