[原子力産業新聞] 2001年2月15日 第2075号 <3面>

[米国] 原子力教育助成法案を検討

人材確保にテコ入れ

米原子力エネルギー協会 (NEI) が5日付けで伝えたところによると、米議会上院は大学での原子力教育とエンジニアリング・プログラムに5年間で2億4,000万ドル (283億円) を助成する法案の提出を検討中だ。

同法案の具体的な内容は、今後、多くの人材を大学の原子力工学課程に募集できるよう、学部および大学院を対象にした特別研究員プログラムの開設を米国エネルギー省 (DOE) に要請するというもので、上院エネルギー・天然資源委員会のJ.ビンガマン議員とP.ドメニチ議員、上院環境公共事業委員会のM.クラポ議員の発案による。

法案の中でこれらの議員は、多くの大学で研究用原子炉の維持が難しくなっているという現状に触れ、実際に稼働している研究炉の数は80年代の約半数にあたる28基まで落ち込んでいると警告。4年間プログラムの数も70年代から25%ほど減少していると訴えた。法案が承認されれは、原子力研究と特別研究員プログラム全体への初年度予算が2002年に3,020万ドル (約36億円)、これが2006年までに6,410万ドル (約76億円) まで増額され、5年間合計で2億3,970万ドル支給されることになる。割当額が最も大きいのは原子力工学・教育研究プログラムと原子炉研究・訓練奨学金プログラムの2つで、それぞれ6,800万ドル (80億円) が配分される見込み。学生募集関係の内訳は学部の研究創始助成プログラムに3,900万ドル (46億円)、学部および大学院の特別研究員プログラムに1,570万ドル (18億5,000万円) となっている。

NEI のJ.コルビン理事長は、「将来の競争市場でも原子力産業がたくましくあるためには、新たな世代の優秀な原子力エンジニアを長期的に獲得して行くことが重要なポイントになる」と指摘。「DOE や原子力規制委員会、これらの機関が活用する大学研究が優秀なレベルを維持し続けられるよう、政府もまた、新たな科学者やエンジニアを必要としていることを上院では正しく理解しているようだ」とコメントした。


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