[原子力産業新聞] 2001年2月22日 第2076号 <2面> |
[サイクル機構] 日ロ専門家セミナー、FBRで情報交換BREST計画を推進核燃料サイクル開発機構は5日と6日の両日、ロシア原子力省との共催で「日ロ FBR サイクルセミナー」を同機構大洗工学センターで開き、両国の専門家らが活発な情報交換を行った。ロシア側からのセミナー参加者は、ベズズプツェフ同省原子力局長をはじめエネルギー技術研究所や物理エネルギー研究所などの専門家ら9名。日本側はサイクル機構の大和愛司理事、内閣府やサイクル機構の関係者など、約50名が参加した。 セミナーでは挨拶に続いて、内閣府の廣田原子力担当参事官補が新長期計画に関して講演し、FBR サイクル開発の必要性と実用化戦略調査研究の推進や、FBR 研究開発の中核となる高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の運転再開の必要性などを述べた。 続いてロシア側から、ベズズプツェフ氏が原子力発電開発全体にわたる現状を紹介。昨年5月に作られたエネルギー開発戦略に関して、2010年までに原子力発電量を現任の1.5倍にするため、炉の稼働率向上や寿命延長、新世代型原子炉の建設に努めたいとしたほか、高速炉開発については、鉛冷却炉、窒化物燃料、乾式再処理システムで構成される「BREST 計画」を推進していくことを強調した。我が国での FBR の技術開発をめぐっては、サイクル機構 FBR サイクル開発推進本部の堂崎氏が実用化戦略調査研究の現状と今後について発表したのをはじめ、重金属炉の概念設計活動、窒化物燃料の可能性などといった内容の報告が行われた。 ロシア側からは、鉛ビスマス炉や鉛炉の開発状況のほか、建設中の BN800 高速炉実証炉で鉛炉を用いた際の安全性向上、BOR60 実験炉での鉛ループ試験などについて発表があった。 サイクル機構がロシア原子力省とセミナーを共催し、総合的に FBR 開発での情報交換をはかったのは初めて。同機構では、相互理解が深められたことから今後もこうした場での研究者間の交流を期待するとしている。 |