[原子力産業新聞] 2001年2月22日 第2076号 <5面>

[原産] 興直孝内閣府政策統括官が講演

総合的戦略を明確に

興直孝・内閣府政策統括官は都内で開かれた日本原子力産業会議の平成12年度の評議員会で講演し、「総合的な科学技術戦略が求められている」などとしながら、内閣府が所管する総合科学技術会議、また原子力委員会、原子力安全委員会の役割と課題にふれ、原子力を含めた今後の科学技術政策のあり方を展望した。

今年1月の省庁再編にともない、内閣総理大臣の諮問機関として関係閣僚クラスなどで構成する総合科学技術会議が設置され、改めて総合科学技術戦略の検討に入っている。同氏は講演のなかで、同会議の役割について、主に (1) 総合的な科学技術戦略を打ち立てること (2) 予算、人材などの資源配分の方向性を打ち出すこと−の2点をあげ、特に長期的な視野から各省庁の予算化等も視野に、「分野別の予算総額にまで立ち入ってメスを入れていくことが求められている」と、実効性のある効率的な科学技術政策の推進に目配りを行う責任があるとした。

総合科学技術会議は先月18日から、改めて科学技術基本計画の策定にむけた審議を開始しており、3月をめどに戦略性をもった計画を打ち出す方針。また、従来の自然科学分野に加え、人文社会科学技術分野の検討も新たに進めていくことが求められており、同分野を含め専門委員会を設けて具体的な検討を行っていくことになっている。

原子力開発についても同氏は、総合科学技術会議が常に「原子力政策のありようをみながら政策判断を行っていく必要がある」とし、原子力委などと互いに問題意識を共有しながら議論を進めていくことが重要との考えを示した。また同氏が就任した政策統括官の役割について「総合科学技術会議の事務局長と同時に、原子力委員会の事務局長という側面もある」とするとともに、同じく内閣府が所管する「経済財政諮問会議ともきちんと連携をはかる必要がある」と述べ、原子力を含めた科学技術政策についてバランスのとれた政策運営の舵取りが重要との見解を示した。

さらに、国内誘致の議論が大詰めを迎えている ITER (国際熱核融合実験炉) 計画についても、「原子力のことは原子力委がきちんと方向づけをはかっていくことが必要」とする一方で、「5,000億円規模の研究開発であるため、総合科学技術会議がメスを入れていくことが求められる。その意味で双方の連携が今後ますます重要となる」との考えを示した。


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