[原子力産業新聞] 2001年2月22日 第2076号 <6面>

[SPEC2001] アジアのエネ保障で国際会議

「太平洋エネルギー協力会議−アジア地域のエネルギー安全保障」が20〜21日の2日間にわたり、東京・港区のホテル・オークラで開かれた。

「アジアにおける原子力発電の役割と展望」をテーマに行われた2日目のセッション3で、講演「原子力の安全性と社会的リスクについて」を行った前田肇関西電力副社長は、「(国民が原子力に対して) 公益的価値を認めながらも安全性、PA などに問題があると考えている」結果、原子力は今「曲がり角に来ている」として、その現状および将来性について (1) 社会的リスクと原子力の役割 (2) 安全性と社会的信頼 (3) 経済性と経営上のリスク --- の3点から分析を行った。

同氏は、これまでわが国がエネルギーセキュリティを踏まえて石油依存度を減らしてきた結果、「原油の価格変動の影響を受けにくくなってきた」「現状を挙げて原子力の果たしている役割を述べるとともに、CO2 排出量の問題にも触れ、「原子力によって回避されるリスクや便益を、我々はもっと考える必要がある」と、その有益性を指摘。

また電力自由化に向けて進む昨今、原子力に投資するリスクに関しては、技術的リスクについては制御可能であり、社会的リスクについては、「これまでの努力の継続でリスクは減らせる」ばかりでなく、化石燃料の価格変動による影響を抑制出来ることから「リスクヘッジにも繋がる」と、原子力の有効性を強調した。またコストについて、「日本の原子力には、更なる向上の余地がある」と述べ、規制面などの効率化の必要性を訴えた。


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