[原子力産業新聞] 2001年3月8日 第2078号 <1面>

[総合エネ調] エネセキュリティWG、21世紀的課題を検討

総合資源エネルギー調査会の総合部会のエネルギーセキュリティ・ワーキンググループ (WG、委員長・田中明彦東大院教授) が7日開催され、21世紀のエネルギーセキュリティ対応はどうあるべきかの報告骨子案について検討を行った。

報告の骨子は、エネルギー源の供給地域や輸送経路、そして日本へといういわば「水際」までの間、どのようなリスクがあるのか。また供給の量と価格の観点からどのようなリスクが存在するのかについて、現状の認識とそれを踏まえた対策のあり方が取りまとめられたもの。

国際的な動向などをみて供給源がかかえるリスクを定量的に分析、アジア地域の課題に重点的な検討を加えるなど、21世紀に考えられる新たな課題への対応を打ち出している点が特徴となっている。国際市場での石油価格の変動幅が大きくなっていることや国際的に石油の在庫幅が縮小しているなどの情勢を踏まえ、日本として原油調達先の多様化をはかることでリスク分散をはかることや、石油代替エネルギーの開発によって原子力や天然ガスの比率を高めることが重要な課題としている。

報告の説明を受けた後、委員からは「水際の外というよりむしろ国内的な要因の分析が重要では」など、日本の技術や経済力の先行きも踏まえる必要があるとの意見が出された。また「冷戦後、政策目標は多様化してきた。市場の自由化や環境問題など整合性のある政策対応が重要」、「アジア地域で原子力の開発計画をもつ国があり、ノウハウの移転など日本の原子力平和利用についての役割も加えるべきでは」などの意見もみられた。このほか自由化問題やアジアに加えて欧米先進国との関係など、さらに検討すべき視点が各委員から提案され、同 WG では、今後これらの観点を踏まえて報告とりまとめの詰めを行うことになった。


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