[原子力産業新聞] 2001年3月8日 第2078号 <2面>

[理研] 世界最高輝度の放射光発生装置が完成

次世代光源実現に道

理化学研究所はこのほど、世界最高輝度の放射光を発生する長尺型のアンジュレータを兵庫県の播磨科学公園都市にある大型放射光施設 SPring-8 の蓄積リングに完成させ、試運転に成功したことを明らかにした。

アンジュレータは、加速器の偏向電磁石間の直線部分に N と S の両磁極を上下に配置し、間をすり抜ける電子ビームを蛇行させることで運動方向を変え、高輝度の放射光を発生させる装置。

今回設置された長尺型アンジュレータの装置は27メートルでそのうち磁石の長さは25メートル。従来の5倍近くの長さを誇る。発生するエックス線の輝度は、光子エネルギーが40keV の場合、SPring-8 の既存のアンジュレータに比べて約3倍高いという。光子エネルギーのエックス線波長を変化させられることも大きな特長だ。

SPring-8 は、いわゆる第3世代の大型放射光施設として設計されているが、次世代放射光源としては短時間で干渉性に優れたエックス線が大強度で得られる光源が必要とされ、こうした次世代放射光源を実現するための前提として高性能加速器と20メートルを超える長尺型のアンジュレータが求められていた。今回の開発はこうしたニーズに沿って行われたもの。

長尺型アンジュレータを利用して得られる干渉性に優れたエックス線は、各種のイメージング手法や非線形光学の分野で大きな威力を発揮するとされている。

また、この装置の開発過程で得られた高精度の長尺アンジュレータ技術は、次世代の放射光源といわれる1オングストローム付近あるいはそれ以下の波長をもつエックス線自由電子レーザーの早期実現を可能にするものと期待されている。


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