[原子力産業新聞] 2001年3月8日 第2078号 <3面> |
[スイス] 原子力法草案を議会に提出新規建設に可能性残すスイス原子力協会 (SVA) が2月28日付けで伝えたところによると、スイス政府はこのほど新たな原子力法の草案を公表し、承認を得るために議会に提出した。 同草案の内容は昨年10月に政府が公表した初期提案に基づいているが、2003年末までに国民投票に掛けられる予定の2つの反原子力イニシアチブに関しては議会が拒否を勧告するよう求めている。草案が勧告している主な項目は次の通り。 (1) 現在国内で稼働する5基の原子炉は運転寿命に上限を定めず、新規の原子力発電所については建設 (この種のプロジェクトはすべて国民投票に掛けられることになるが) の可能性を残す (2) 使用済み燃料の再処理および再処理のための国外輸送は研究目的のものを除き、既存の契約が終了した時点で禁止とする (3) プルトニウムを含む放射性物質の空輪は将来禁止する (4) 放射性廃棄物管理については、専門家作業グループが昨年2月に提案した「回収可能」の原則を深地層処分に組み合わせた最終処分概念の受入れを政府が勧告する (5) スイスで原子炉を操業するすべての電力会社には、これまでの原子力施設廃止措置基金への払込みに加えて、放射性廃棄物の集中処分基金にも追加で払込みをさせる (6) 今後の許認可手続きは、異議を唱える者が独立の裁判所を利用できるよう調整する (7) 原子力施設の解体に関する詳細な要求項目および手順を明記させる−など。 今回の草案に対して SVA は、スイスが原子力オプションを保持するよう勧告している点や許認可手続きを連邦政府レベルに集中させたり、原子炉の運転寿命に特定の上限を設けないと提案している点などを高く評価。その一方で、再処理の禁止や廃棄物処分場問題において州自治体の事実上の拒否権など多重の票決手続きを提案しているほか、廃棄物処分基金への追加払込みを要求している点などを非難している。 |