[原子力産業新聞] 2001年3月15日 第2079号 <2面>

[放射光] 青森県、放射光を軸に産業創造へ

基本計画、固まる

青森県のむつ小川原地域における放射光施設整備検討委員会 (委員長・大桃洋一郎環境科学技術研究所専務理事) は9日、青森市内で今年度の最終会合を開き、報告書とりまとめに向けた同施設の整備基本計画を大筋で固めた。

計画は基本的考えとして、(1) 東北・北海道地域における放射光研究開発・交流の拠点として整備する (2) 産・学・官が連携し、地域での研究開発の充実・発展を目指す (3) 医学、獣医学、農・生物学などの生命科学、理工学などに関連する基礎ならびに応用研究に取り組む−ことを掲げた。こうした点に基づき、地域研究開発機能の充実・強化と地域産業の高度化ならびに新しい産業の創出をはかることを求めている。

建設を想定している加速器施設については、光源本体を最大加速エネルギー2ギガ電子ボルトとし、低いエミッタンスモードで目標値は30ナノメーター・ラジアンを設定した。施設建屋は、放射光源装置やビームライン等の光源機器の部分と、研究や施設維持管理に用いられる部分で構成されるものとしている。

一方、計画の運営管理面での問題点もいくつか指摘されている。ビームラインや実験ステーションは当初、建設資金の予算的制限が予想されることから、施設の運用開始後も施設利用の充実・強化をはかることが必要で、将来の増設を視野に入れ資金計画を含めた整備計画が重要だとの考えを示した。

施設の維持・管理体制でも、定期的な点検・保守などに十分な組織と人員の確保が欠かせないとするとともに、施設の安定性能を保つための適切な技術スタッフが求められるとしている。

また、放射光施設が有効に機能するためには多くのユーザーが効率よく利用し所期の成果をあげることが重要だとの認識から、施設の共同利用委員会などを設置して検討していくことも必要だと指摘している。


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