[原子力産業新聞] 2001年3月15日 第2079号 <3面>

[ドイツ] ニューケム社、チェルノブイリ原発の廃棄物管理施設を受注

ドイツの原子力サービス企業であるニューケム・ニュークリア社は6日、ウクライナで昨年12月に永久閉鎖されたチェルノブイリ原子力発電所の放射性固体廃棄物管理施設を3,330万ユーロ (約 37億円) で建設する契約を獲得したと発表した。

「放射性固体廃棄物管理コンビナート計画」(ICSRM) と名付けられた同プロジェクトでは欧州委員会 (EC) の財政支援により、同発電所1−3号機が操業当時に排出した放射性廃棄物および今後の廃止措置に伴うすべての廃棄物を処分に適した状態に処理することになっている。

同プロジェクトの作業は次の3つの段階を踏み、合計28か月間で完了させるとしている。(1) 発電所サイトのサイロで中間貯蔵されている固体廃棄物を回収 (2) サイト内の既存建屋内で原子炉操業時の廃棄物を最終処分に適した状態に分離・調整処理、およびパッケージングするが、低・中レベル廃棄物については分離後、焼却、高圧圧縮、セメント固化などの処理を実施 (3) 処理済みの固体廃棄物は、欧州復興開発銀行 (EBRD) の融資で建設した施設で処理済みの液体廃棄物とともに低・中レベル廃棄物専用に工学設計された浅地層処分施設に貯蔵−など。

ニューケム社は、「固体廃棄物の処理を通じてチェルノブイリの環境を実質的に改善できるほか、雇用の創出という社会的な面でも貢献することになる」と強調。実際、施設の設計・建設、機器の供給や設置など作業全体の4割をウクライナの下請け企業に回す予定であると説明した。また、施設の安全性はウクライナの基準を考慮すると同時に欧米の基準をも満たしたものになると指摘している。

EC はこれまで、対独立国家共同体技術援助計画 (TACIS) の原子力安全プログラムにより同発電所の廃止措置活動に貢献してきた。4号機の石棺修復計画に EBRD を通じてさらに1億ユーロ (112億円) の融資を約束したほか、閉鎖に伴う代替電源として新規原子炉の完成支援計画にユーラトム (欧州原子力共同体) からの融資5億8,500万ドル (690億円) を承認している。


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