[原子力産業新聞] 2001年3月22日 第2080号 <3面>

[フランス] 昨年の運転実績が良好

発電量、過去最高値に

フランス電力公社 (EDF) はこのほど、同国で稼働する PWR 58基の昨年1年間の運転実績を公表し、発電電力量や発電コスト、安全性、放射線防護など、あらゆる面で過去最高レベルの記録となったことを強調した。

記者会見に臨んだL.ストリッカー原子力発電主任によると、昨年の原子力発電量は99年実績を200億kW 時 (5.4ポイント) 上回る3,950億kW 時に達し、それまで過去最高値だった97年の3,760億kW 時を更新したという。項目ごとの実績は次の通り。

平均稼働率は前年の79.3%から80.4%に上昇している。90万kW 級 PWR の平均稼働率は76%だったが、130万kW 級および150万kW 級のN4シリーズではそれぞれ85%と95%を記録した。

キロワット時あたりの平均発電コストも99年レベルからは1.8%低下、98年との比較では7%のコスト削減を達成している。その主な要因としてストリッカー主任は、発電レベルが改善されたことと原子炉の割賦償還が進み負債が着実に減少している点を指摘。「フランスの原子炉の運転コストは今のところ米国のものより15〜25%は安い」と強調するとともに、98年から2002年までの期間にトータルで20%の発電コスト削減を目標としていることを明らかにした。

安全性と稼働実績に関しては、指標となる計画外停止の頻度が前年から8.5%下がり、2000年は0.8回/炉/年になったとしている。安全性に係わる事象の頻度も7.1回/炉/年で、このうち、5.5回は国際原子力事故評価尺度 (INES) の評定でもレベル0で、前年の6回から改善されている。レベルIの頻度は1.6回で、これは99年の1.2回より増加したが、レベルIIの回数は99年の3回から2回に減少。ストリッカー主任は各原子炉サイト毎に稼働実績には大幅な差があると指摘しており、特にダンピエール原子力発電所においては厳格に規則を遵守するという点に重点が置かれたと説明している。

20mSv 以上の放射線を被曝した従業員は99年に8人を数えていたのが2人に抑えられた。周辺環境への放射性物質 (トリチウムを除く液体) 放出量も昨年より低減されており、90万kW 級 PWR でO.67ギガ・ベクレル (GBq)、130万kW 級で0.71GBq となっている。また、汚染レベルが許容範囲を超えた放射性物質輸送の件数は188件中4件までに削減された。


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